セッション情報 | 特別講演(消化器病学会)ゲノム医療:パーソナルオンコロジーの実現へ向けて |
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タイトル | 特別講演1:ゲノム医療:パーソナルオンコロジーの実現へ向けて |
演者 | 油谷 浩幸(東京大・先端科学技術研究センター) |
共同演者 | |
抄録 | 次世代シーケンシング解析技術の急速な進歩により、様々な癌種に生じた遺伝子変異が明らかにされつつある。国際がんゲノムコンソーシウム(International Cancer Genome Consortium, ICGC)では50種類の癌種それぞれについて500症例の解析を目指しており、我が国は肝炎ウイルスによる肝細胞癌の解析を担当し、第1例目のHCV陽性肝がん症例(Totoki, 2011)に引き続き、27例の全ゲノム解析結果(Fujimoto, 2012)が最近発表された。肝細胞がんで比較的高頻度に変異が生じる遺伝子としてTP53やβ-cateninが確認され、クロマチンリモデリング因子ARID1A遺伝子は他の癌腫とも共通して変異が同定されるなど、「遺伝子変異のカタログ化」が癌腫毎に進んでいる。 一方、腫瘍細胞集団の一部にのみ存在するような変異も存在し、癌細胞集団の異質性(heterogeneity)を確認できる。新たな治療分子標的の同定や治療応答性と遺伝子異常についての解明のみならず、さらに経過中に生じる新たな変異の同定からがん細胞集団としての進化についての理解が進むことが期待される。 抗腫瘍薬として現在多くの分子標的薬が開発されているが、治療方針の決定に関わる‘actionable’な遺伝子変異を同定することががん診療の現場においてますます重要になりつつある。本講演ではがんゲノム解析の現状について紹介するとともに、パーソナルオンコロジーの実現に向けて必要な臨床との連携についても議論したい。 |
索引用語 |