セッション情報 シンポジウム6(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

画像強調内視鏡の現状と今後の展開-咽頭から十二指腸まで

タイトル 内S6-4:

咽頭・食道表在癌のNBI内視鏡診断に関する前向きランダム化比較試験
‐従来型拡大内視鏡 vs. プロトタイプ拡大内視鏡‐

演者 土橋 昭(東京慈恵会医大・内視鏡科)
共同演者 郷田 憲一(東京慈恵会医大・内視鏡科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・内視鏡科DELIMITER東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】NBIを併用した従来型拡大内視鏡(GIF-H260Z, 以下“従来型”)とプロトタイプ拡大内視鏡(GIF-Y0040, 以下“プロトタイプ”)の咽頭・食道表在癌に対する診断能(検出・精度)を中心に比較し,プロトタイプの臨床的有用性について明らかにする.
【方法】頭頸部・食道癌の現病歴または既往歴を有する患者を対象とした.2名の内視鏡医を従来型またはプロトタイプに割り付け,咽頭と食道のNBI観察を行った. NBI非拡大観察で5mm以上のbrownish areaまたは癌との鑑別を要する病変を発見した際には拡大観察を追加した. NBI拡大観察で血管間茶褐色調変化の有無とIPCLの密度と形態学的変化について評価した後,病変部を生検し組織学的診断に供した.また,検査終了後,2名の内視鏡医に対して画質や操作性に関するアンケート調査を行った.各拡大内視鏡の検出率を主要評価項目,正診率やアンケート結果を副次評価項目として比較した.本試験は非劣性試験としてデザインされ,サンプルサイズ解析で必要症例数は74と算出された.
【成績】94名の患者に対して本試験が遂行され,咽頭・食道合わせて133病変を拾い上げ,拡大内視鏡観察を行った.組織学的に28病変が表在癌と診断され,その大きさの中央値は19mm(5 - 80)であった.表在癌に対する感度(以下,咽頭, 食道;プロトタイプvs. 従来型: 80% vs. 67%, 85% vs. 77%),正診率(94% vs. 85%, 91% vs. 87%)はいずれもプロトタイプが従来型より高いものの有意差はなかった.アンケートの解析では,挿入性,画質,拡大手技の簡便性において,プロトタイプの評価が有意に高かった(p<0.05) .
【結論】プロトタイプの咽頭・食道表在癌に対する診断能は従来型と比べて高い傾向を示し,挿入性・拡大手技の簡便性は有意に向上している.プロトタイプは臨床的に有用であり,拡大内視鏡のさらなる普及に寄与できることが示唆された.
索引用語 NBI拡大内視鏡, 咽頭・食道表在癌