セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療)3

タイトル 消P-131:

ガイドライン施行後の急性胆嚢炎の診療成績

演者 田尻 和人(富山大・3内科)
共同演者 河合 健吾(富山大・3内科), 峯村 正実(富山大・3内科), 杉山 敏郎(富山大・3内科)
抄録 【背景/目的】急性胆嚢炎は多くが胆石症を保有し重篤化しうる急性疾患である。治療の標準化のため2006年に診療ガイドラインが提唱され、急性期も含め外科的治療を前提としているが、実地診療では困難な場合も多い。今回当科において入院加療を行った急性胆嚢炎症例(総胆管結石性は除く)の治療成績、ガイドラインの有効性、高齢(75歳以上)が治療経過に与える影響につき検討した。【対象および方法】ガイドライン施行後の2007年からの5年間で当科で急性胆嚢炎と診断、入院加療を行った58例について、臨床症状、胆石の有無、ドレナージの有無、入院加療期間、手術有無とその時期、高齢の及ぼす影響について、後方視的に検討した。【成績】性別は男性34例女性20例、年齢は70.5(36~96)歳、何らかの基礎疾患を有する症例が50例(86.2%)と多くみられた。WBC 12418±5396/mm3、CRP 11.04±9.86 mg/dlと高度の炎症所見を認め、ALT 103.7±146.9 IU/L, T-Bil 1.71±1.35 mg/dlと肝障害も認めた。胆石の合併は55.2%であった。ドレナージを行った症例が27例(46.6%)にあり、入院加療期間は14.5(4~80)日であった。手術は経過がおえた55例のうち29例(52.7%)に実施され、手術までの期間は45(2~120)日であった。急性胆嚢炎による死亡例はなく、基礎疾患による死亡と胆嚢癌による死亡1例ずつのみであった。さらに上記の因子につき75歳以上(40例)と未満(18例)の2群にわけ解析したところ、手術の有無(63.2% vs 29.4%)以外2群間に有意な差はなかった。【考案/結語】当科での急性胆嚢炎症例は基礎疾患を有する無石胆嚢炎症例が多く、比較的重症な症例が多くみられた。ガイドラインに準じた急性期の外科治療を選択できた症例はほとんどなく、実地診療上はその適応が困難な面がある。高齢の症例も多いが、治療成績に高齢の影響はあまりなかった。ガイドラインは高齢者にもおおむね適応されその治療成績は良好であるが、基礎疾患を有する高齢症例では、急性期の手術加療は困難な例も多い。
索引用語 急性胆嚢炎, 診療ガイドライン