セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療)3

タイトル 消P-136:

高齢者(75歳以上)における総胆管結石に起因する急性胆管炎の臨床的特徴の検討

演者 中路 聡(亀田総合病院・消化器内科)
共同演者 平田 信人(亀田総合病院・消化器内科), 小林 正佳(亀田総合病院・消化器内科), 白鳥 俊康(亀田総合病院・消化器内科), 稲瀬 誠実(亀田総合病院・消化器内科)
抄録 【背景】本邦では人口動態の変化に伴い高齢者が著明に増加している.重篤な基礎疾患を有したり,予期しない偶発症のため長期間の入院を要したり,致命的になるケースも存在するため高齢者における急性胆管炎の特徴を知っておくことは重要であると思われる.【方法】74歳以下を非高齢群,75歳以上を高齢群と分類し臨床的特徴を比較・検討した.重症度分類は国内ガイドラインを用いた.受診時の臨床症状は腹痛,黄疸,発熱,血圧,脈拍,呼吸数を,検査値は白血球,血小板,PT-INR,Cr,CRPを,臨床経過は白血球の正常化,Bilの正常化,CRPの正常化,腹痛の消失,37℃以下の解熱,入院期間を比較した.また,全身性感染症の指標の一つである血液培養の陽性率や起因菌についても比較・検討した。【結果】2008年6月から2012年1月までの総胆管結石に起因する急性胆管炎症例は641例であり非高齢者群253件,高齢者群388件であった.重症の比率は高齢者群で有意に高かった(24.9% vs 42.2%,P<0.01).臨床症状において高齢者群は腹痛の頻度が低く(P<0.01),発熱の頻度が高い(P<0.01).黄疸,血圧,脈拍,呼吸数に有意差は認められなかった.検査値において高齢者群は血小板(P<0.01),PT-INR(P<0.01),CRP(P=0.02)で有意差が認められた.経過では高齢者群で白血球正常化までの期間(P<0.01),解熱までの期間(P=0.03),CRPの正常化までの期間(P<0.01),入院期間(P<0.01)で有意差が認められた.血液培養は72.3%(467/641)に施行され陽性率は高齢者群で有意に高く(41.2% vs 55.0%,P<0.01),血培陽性群における平均陽性菌腫数も有意に高かった(1.18 vs 1.40,P=0.01).【結論】高齢群の臨床的特徴は腹痛に乏しく,発熱の頻度が高く,炎症反応が高い.高齢群は全身性感染症となり重症の状態で受診されている症例が多いため治療期間も長くなる.早期のドレナージを必要とする.また,高齢者は複数の起因菌による菌血症となっていることも多く適切な抗菌薬加療を必要とする.
索引用語 急性胆管炎, 高齢者