セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療)4

タイトル 消P-138:

当院における胆嚢総胆管結石症に対する内視鏡治療と再発に関する検討

演者 阿南 隆洋(淀川キリスト教病院・消化器病センター消化器内科)
共同演者 菅原 淳(淀川キリスト教病院・消化器病センター消化器内科), 向井 秀一(淀川キリスト教病院・消化器病センター消化器内科)
抄録 【目的】胆嚢総胆管結石症は、内視鏡的治療後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を原則としているが、無症状から急性胆管炎や膵炎の併発を認めるものまで様々であり、病態に応じた治療法と胆管結石再発例について検討した。【方法】2005年1月から2010年12月まで当院で内視鏡的治療を行い経過観察が可能であった216例を対象とした。【成績】無症状・軽症急性胆管炎症例(119例)ではESTによる内視鏡的切石術を第一選択とし、34例(28.6%)は一期的に完全切石した。完全切石できない85例(71.4%)は胆管ステントを留置した。中等症・重症急性胆管炎(75例)は胆道ドレナージを優先し64例(85.3%)に胆管ステントを留置した。特に重症では経鼻胆管ドレナージを第一選択とした。胆石膵炎(22例)では乳頭部の嵌頓結石を解除後、19例(86.4%)で胆管ステントを留置した。胆摘を行った149例では一期的な切石にこだわらず、胆管ステントを留置し、胆嚢摘出術後、二期的に切石した。また、基礎疾患などにより完全切石困難な21例(9.7%)に対しては胆管ステントを1本または2本継続留置した。そのうち5例(23.4%)にステント閉塞による胆管炎を認めステント交換を行った。胆管炎発症までのステント平均開存期間は564.4日であった。次に、完全切石後に胆管結石を再発した18例を再発群(A)、再発していない198例を無再発群(B)として比較検討すると年齢(A群 76.9±10.2歳、B群69.4±15.5歳)、結石数(A群 2.6±1.6個、B群2.1±1.9個)、結石最大径(A群 8.2±3.4mm、B群8.0±4.3mm)、総胆管最大径(A群 13.4±4.0mm、B群10.7±3.8mm)のいずれも有意差を認めなかった。また、胆嚢摘出の有無に関して胆嚢摘出術を行わなかった症例は再発群で9例(50.0%)、無再発群で58例(29.3%)と再発群で多かったが有意差はなかった。【結論】胆嚢総胆管結石症は、病態に応じて治療法を選択することが重要である。胆嚢結石を放置すると総胆管結石の再発率が高く、若年者や低リスク例では胆嚢摘出術が望ましいと考えられる。
索引用語 総胆管結石, 内視鏡治療