セッション情報 シンポジウム6(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

画像強調内視鏡の現状と今後の展開-咽頭から十二指腸まで

タイトル 内S6-5:

早期食道癌の診断における異常血管間の色調変化“Background coloration;BC”の有用性

演者 南 ひとみ(長崎大・消化器内科)
共同演者 磯本 一(長崎大・消化器内科), 中尾 一彦(長崎大・消化器内科)
抄録 Image Enhanced Endoscopyの登場により、咽頭・食道領域の早期癌の内視鏡診断は飛躍的に向上しており、有馬、井上らの拡大内視鏡診断分類に加え、異常血管間の背景の上皮色調変化“background coloration;BC”の有用性が報告されている。我々は、BCの成因に、腫瘍細胞内のHb成分が関与している可能性を検討してきた。対象は、2007年9月~2011年11月までに当院で内視鏡検査を施行した、食道の128症例181病変のうち、拡大内視鏡と病理との対比可能であった117症例158病変。BCの有無と組織型、深達度およびIPCLパターン分類をおのおの対比し検討した。また、連続する47病変に対して、抗Hb抗体を用いた免疫染色を行い、組織型と染色性について検討した(境界明瞭な染色;(+)、染色されない、または境界不明瞭な淡い染色;(-))。さらにBCと上皮マクロファージ内に貪食された赤血球由来の成分の関連性について免疫染色を用いて検討した。IPCL type Vの癌の正診率は97.1%であったのに対し、IPCL type IVでは50%であった。IPCL type IVにBCの有無を加味すると、癌の正診率は89.2%へ上昇した。全症例では、Hb抗体(-)6病変、(+)41病変であり、BC陽性の36病変中34病変(94.4%)でHb抗体陽性であり、BCと抗Hb抗体の一致率は80.9%であった。また、BC陽性の領域における抗CD68抗体染色では、明らかな染色性を認めなかった。考察 血管の変化が現れるIPCL type IVの正診率は50%であったが、BCを加味すると89.2%まで上昇し、IPCL type IIIおよびVにおいても、正診率は上昇した。BCの成因として病変部における血管外の扁平上皮癌細胞内にHbの構成成分が存在している可能性があるが、上皮中マクロファージ内のHbの成分が関連している可能性は否定的であった。BCは咽頭・食道領域の早期癌の診断において有用と考えられた。BCの成因には扁平上皮癌細胞内のHb成分が関与している可能性がある。
索引用語 早期食道癌, 拡大内視鏡