セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療)4

タイトル 消P-142:

超高齢者における内視鏡的総胆管結石除去の安全性と有用性

演者 越知 泰英(長野市民病院・消化器内科)
共同演者 長谷部 修(長野市民病院・消化器内科), 原 悦雄(長野市民病院・消化器内科), 須澤 兼一(長野市民病院・消化器内科), 長屋 匡信(長野市民病院・消化器内科), 多田井 敏治(長野市民病院・消化器内科), 神保 陽子(長野市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】85歳以上の超高齢者の総胆管結石症例における,結石の完全除去を目指した内視鏡的治療の有用性について検討した.【方法】2006年から2011年までに内視鏡的治療を試みた75歳以上の総胆管結石症例183例を対象にした.これらを85歳未満の群(高齢者群)と85歳以上の群(超高齢者群)とに分けて両群の治療成績を比較検討した.内視鏡的治療は,原則として中切開以上の十二指腸乳頭切開術を付加して,一期的又はニ期的に結石を完全除去することを目指した.【成績】高齢者群は114例,超高齢者群は69例で,年齢の中央値はそれぞれ79歳と88歳であった.胆嚢結石及び胆管炎を合併した症例数に有意差はみられなかった.発症前のPerformance status (PS)の平均値は,高齢者群で1.1,超高齢者群では2.4と,超高齢者群で有意に悪かった.胃切除後で内視鏡が十二指腸乳頭に到達しなかった4例を除く179/183例(97.8%)で内視鏡的治療が可能だった.このうち高齢者群では全例で,超高齢者群では65/68例(95.6%)で完全除去可能で,両群に有意差を認めなかった.但し治療回数の平均は,高齢者群の1.4回に対し超高齢者群では1.6回と有意に多かった.治療後の早期偶発症は高齢者群で6/111例(5.4%),超高齢者群で3/68例(4.4%)で有意差を認めなかった.初回内視鏡治療日から退院可能日までの期間の中央値は,高齢者群の6.5日に対し超高齢者群では10日と有意に長かった.但し 一連の治療により発症前より退院時のPSが悪化した症例は,高齢者群では3/111例(3.1%),超高齢者群では4/68例(5.9%)であり有意差を認めなかった.経過観察中の総胆管結石再発例は,高齢者群で7/111例(6.3%),超高齢者群では7/68例(10.3%)であり有意差を認めなかった.【結論】超高齢者における内視鏡的総胆管結石除去は,入院期間が長くなり治療回数も多くなるが,治療成績は高齢者と同等で治療に伴うPSの有意な悪化も見られなかったため,積極的に完全除去を目指しても良いと考えられた.
索引用語 超高齢者, 総胆管結石