セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療)4

タイトル 消P-143:

後期高齢者総胆管結石に対する内視鏡治療の検討

演者 辻 重継(石川県立中央病院・消化器内科)
共同演者 山田 真也(石川県立中央病院・消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】後期高齢者総胆管結石に対する内視鏡治療の有効性と安全性を検討する.【方法】対象は2007年1月~2011年12月までに内視鏡治療を行った総胆管結石239例(平均年齢:73.5,男/女:129/110). 非高齢群(<75歳)110例, 高齢群(75歳≦)129例について,基礎疾患(心疾患,呼吸器疾患,脳血管障害),認知症,Karnofsky Performance Scale(KPS),抗血栓剤,結石数,結石径,完全結石除去率,治療回数,入院期間,鎮静剤使用量,偶発症(出血,穿孔,胆管炎,膵炎,不整脈,せん妄,覚醒不良),胆管炎再発率,再発までの期間について比較検討した.高齢群のうち,結石完全除去例(除去群)93例と胆管ステント長期留置例(ステント群)22例についても検討した.【成績】非高齢群/高齢群(平均年齢:62.5vs82.8,男/女:71/39vs58/71)であり,高齢群において認知症(0.9vs21.7%,p<0.01),抗血栓剤(7.3vs25.6%,p<0.01)が多く,KPS (85.6vs67.7%,p<0.01)が低かった。結石数に有意差はないが,結石径(mm)(8vs9,p=0.04)は大きく,完全結石除去率(85.5vs72.1%,p=0.01)は低く,鎮静剤使用量(mg)(ミタゾラム:14.2vs11,塩酸ペチジン:11.8vs7.3,p<0.01)は少なかった。胆管炎再発率(7.3vs12.4%)や偶発症(10vs14.7%)に関して有意差はなかった。除去群/ステント群(平均年齢:81.8vs87,p<0.01,男/女:47/46vs7/15)であり,ステント群において認知症(15.1vs50%,p<0.01)が多く, KPS(71.3vs51.8%,p<0.01)は低かった.結石数(5個以上)(6.5vs36.4%,p<0.01),結石径(mm)(8.3vs11.5,p<0.01)は大きく,鎮静剤使用量(mg)(ミタゾラム:8.2vs4.8,塩酸ペチジン:12.1vs8.6,p<0.01)は少なかった.胆管炎再発率(5.4vs40.9%,p<0.01)は高く, 再発までの期間(月)(20.6vs6.4,p<0.01)は短かった。偶発症(16.2vs4.5%,p=0.15)は,ステント群ではせん妄1例のみであった.【結論】後期高齢者において非高齢者と比べ再発率や偶発症に有意差はなく,内視鏡治療は安全かつ有用であると考えられた.また,より高齢でADLが低く,結石数・結石径が大きい例では,ステント長期留置は侵襲が少なく治療の選択肢の一つとなりうる.
索引用語 総胆管結石, 後期高齢者