セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(腫瘍)

タイトル 消P-144:

当科で経験した粘液産生胆管腫瘍(IPNB)6症例の検討

演者 伊藤 裕幸(東海大・消化器内科)
共同演者 川口 義明(東海大・消化器内科), 仁品 玲子(東海大・消化器内科), 丸野 敦子(東海大・消化器内科), 小川 真実(東海大・消化器内科), 峯 徹哉(東海大・消化器内科), 村上 健太郎(東海大・消化器外科), 古川 大輔(東海大・消化器外科), 矢澤 直樹(東海大・消化器外科), 中郡 聡夫(東海大・消化器外科)
抄録 近年、膵の膵管内乳頭粘液腫瘍と類似の特徴と形態を有する粘液産生胆管腫瘍(以下IPNB)への関心が高まっており報告例が散見されるが、当科で経験したIPNB症例6例について検討を行った。対象は2008年2月から2011年8月までに当科で精査を行い、胆道鏡にてイクラ状の乳頭状構造物を観察若しくは最終的に病理組織学的にIPNBと診断した6例であり、男性は3例、女性は3例、平均年齢は70.7才であった。来院時の主訴は腹痛2例、黄疸1例、全身倦怠感1例、無症状2例であり、初診時に肝胆道系酵素やビリルビン値の上昇などの血液検査異常を認めた症例は4例であった。腫瘍の占拠部位は左肝内胆管内が3例と最も多く、以下左肝管2例、乳頭部から共通管部が1例であり、左肝内胆管例のうち2例は総胆管まで腫瘍の連続所見を認め、左側胆管内に多く見られる傾向があった。胆道鏡を施行したのは4例であり、うち3例で病変相当部にイクラ状の乳頭状構造物を確認し得た。手術例は4例であり、標本における肉眼型は全例が乳頭・隆起型であった。病理組織学的にはintraductal papillary mucinous carcinomaが3例、adenoma が1例であった。IPNBは管腔内の乳頭状増生、胃腸型形質の発現、粘液癌への進展例など膵IPMNに類似した特徴を有するとされており、組織学的には膵IPMNの胆道におけるカウンターパートとも考えられている。また、多量の粘液を伴い乳頭状増殖を示す腫瘍が肝門部に近い胆管で認められ、胆管全体が拡張する画像所見を呈するとされている。当6症例においては、乳頭部から共通管部に認められた1例を除いて、左側の肝管から肝内胆管にかけての肝門部に近い胆管で病変が認められた。また、全例で胆道鏡若しくは手術標本にて乳頭状構造物を確認することが可能であり、程度は異なるが胆管の拡張所見を認めた。当科で経験した粘液産生胆管腫瘍につき、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 粘液産生胆管腫瘍, IPNB