セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(腫瘍)

タイトル 消P-147:

傍肝門領域胆管癌例での胆管周囲付属腺の病理学的変化

演者 佐藤 裕英(金沢大附属病院・病理部)
共同演者 佐藤 保則(金沢大・形態機能病理学), 原田 憲一(金沢大・形態機能病理学), 佐々木 素子(金沢大・形態機能病理学), 池田 博子(金沢大附属病院・病理部), 中沼 安二(金沢大・形態機能病理学)
抄録 【目的】最近の研究で、胆管付属腺に肝胆膵へと分化しえる組織幹細胞が分布することが注目されている。肝胆道系疾患で、胆管周囲付属腺に種々の病理学的変化がみられ、病態形成に関連し、まれではあるが、付属腺の癌化症例も報告されている。今回、傍肝門領域胆管癌症例にみられる胆管周囲付属腺の病理学的変化を、胆管癌の発生および進展の観点から検討した。【方法】対象は、傍肝門領域の胆管癌で、肉眼分類で胆管周囲浸潤型(3例)および胆管周囲浸潤型+結節型(3例)と分類された症例6例(年齢32~84歳(平均64.5歳)で、男性3例、女性3例)。いずれも外科切除例で、癌部およびその周囲の肝門領域からを多数の病理標本を作成し、胆管付属腺の病理像を検討した。【成績】全例肝左葉~肝門領域に原発病変が認められた。病変の範囲が傍肝門領域のみの例が4例、傍肝門領域から末梢肝にかけて分布する例が2例であった。高分化型腺癌が4例、中分化型腺癌が2例で、組織型としては管状腺癌が3例、管状腺癌+乳頭腺癌が3例であった。胆管周囲付属腺の変化:6例全例で、傍肝門領域の大型胆管内面に微小乳頭状あるいは平坦な腺癌が認められた。さらに6例全例で、胆管周囲付属腺に種々の腫瘍性病変がみられ、1例では胆管周囲付属腺に胆管内上皮性病変(前癌病変であるBilIN2/3)が認められ、3例では、胆管周囲付属腺に上皮内進展を示す腺癌があり、胆管内腔面で増生する癌と連続していた。また、1例では、病変の主座は胆管周囲付属腺であり、一部で胆管内面に腺癌が進展していた。1例では、胆管内面および付属腺に広汎に上皮内癌が進展していた。【結論】胆管周囲浸潤型の傍肝門領域胆管癌では、胆管内腔面のみならず胆管周囲付属腺に、上皮内進展を示す癌が認められ、前癌病変も認められた。傍肝門領域での胆管周囲付属腺の病態解析が、胆管癌の発生、進展に重要と考えられた。
索引用語 胆管付属腺, 胆管癌