セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(腫瘍)

タイトル 消P-148:

IMP3とS100Pによる経乳頭的胆管生検組織免疫染色の臨床病理学的検討

演者 川嶋 啓揮(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 廣岡 芳樹(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 伊藤 彰浩(名古屋大大学院・消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 伊藤 祐也(名古屋大大学院・消化器内科学), 中村 陽介(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 平松 武(名古屋大大学院・消化器内科学), 杉本 啓之(名古屋大大学院・消化器内科学), 鷲見 肇(名古屋大大学院・消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 中村 正直(名古屋大大学院・消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大大学院・消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】近年、IMP3(IGF-II m-RNA-binding protein 3)、S100P(S100 calcium-binding protein P)の胆膵系腫瘍の悪性度評価に関する報告が散見される。今回、経乳頭的胆管生検組織のIMP3、S100P免疫染色発現について胆管癌診断に対する有用性、臨床像との比較をretrospectiveに検討した。【方法】2005年4月から2010年3月までに当院で経乳頭的胆管生検を施行した症例中、評価可能な組織が採取され手術あるいは1年以上の経過観察で診断が確定している80例(胆管癌68例、良性胆管狭窄12例(PSC5例など))を対象とした。(1)H.E.染色による病理診断、(2)臨床像(摘出手術施行胆管癌55例のT因子、リンパ節転移の有無、肉眼的形態分類(乳頭型or その他)、部位(肝門部orその他)、予後)と免疫染色によるIMP3、S100P発現の有無を比較検討した。【成績】(1) IMP3発現は胆管癌68例中54例で認められ、良性では12例中1例(PSC症例)で認められたのみであった。IMP3発現はH.E.染色にて診断可能胆管癌42/49例、診断不能胆管癌12/19例に認められた。S100P発現は胆管癌68例中52例に認められたが、良性でも12例中6例で認められた。IMP3, S100P免疫染色発現陽性を癌と診断すると胆管癌診断に対する感度・特異度・PPV・NPVはH.E.染色病理診断(72%・100%・100%・39%)、IMP3(79%・92%・98%・44%)、S100P (76.4%・50%・90%・27%)、H.E染色+IMP3(90%・92%・98%・61%)であった。 (2)摘出手術施行した胆管癌症例におけるIMP3発現と臨床像では有意な関係は認められなかったが、S100P陽性症例は乳頭型胆管癌に少ない傾向にあり(chi-square test: P=0.053)、予後が悪い(log rank test: P=0.016)結果であった。【結論】胆管生検組織のIMP3免疫染色は質的診断能を向上させうる。またS100P免疫染色は予後予測に有用である可能性が示唆された。
索引用語 胆管癌, 胆管生検