セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)胆道(腫瘍) |
---|---|
タイトル | 消P-149:悪性腫瘍による閉塞性黄疸症例の栄養状態の評価、および減黄処置の有効性についての検討 |
演者 | 菱木 智(済生会横浜市南部病院・消化器内科) |
共同演者 | 河島 菜々子(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 吉村 築(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 亀田 英里(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 所 知加子(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 池原 孝(済生会横浜市南部病院・消化器内科), 川名 一朗(済生会横浜市南部病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】 閉塞性黄疸患者においては、脂肪などの消化吸収障害や原疾患の全身への影響から栄養障害が生じるが、減黄処置による予後改善効果については意見がさまざまである。今回我々は、悪性腫瘍による閉塞性黄疸患者の栄養状態や免疫能について各種血清因子を用いて検討した。さらに減黄処置後の変動についても検討を加えた。【方法】膵胆道系の悪性腫瘍による閉塞性黄疸患者(悪性腫瘍群)5例を対象とし、栄養状態や免疫能の評価を行い検討した。検査項目は栄養状態の指標としての血清アルブミン(ALB)、血清プレアルブミン(PA)、総リンパ球数などである。また総胆管結石による黄疸患者(総胆管結石群)5例についても同様な検査を行い比較検討した。さらに悪性腫瘍群に対しては、減黄処置として胆汁内瘻化を行い、処置後1週間、1か月後の時点での栄養状態の評価を行い減黄処置前との変化を調べた。【成績】1)閉塞生黄疸症例の栄養状態の評価。 悪性腫瘍群では、総胆管結石群に比較しALB、PA、総リンパ球数いずれも有意に低値であった。2)悪性腫瘍群での減黄前、減黄後処置1週間後、1ヶ月後の栄養状態の推移について減黄処置前後で比較すると、ALB、PAは1週間後に一部の症例で上昇したが、他の症例は低下し、全体では処置後1ヶ月にかけて徐々に低下傾向を示した。総リンパ球数は減黄処置1週間後、1ヶ月後にかけて上昇する傾向を示した。【結論】悪性腫瘍による閉塞性黄疸患者では、総胆管結石による閉塞性黄疸患者と比べ、栄養状態や免疫能が低下していた。減黄処置後、総リンパ球数は上昇し、減黄処置により免疫能が改善する可能性が示唆された。一方、PAやALBは処置後早期にはわずかな改善もみられたが、長期的には低下することが示された。悪性腫瘍による閉塞性黄疸患者に対する減黄処置は、早期の免疫能の改善には寄与するが、栄養状態の改善は見られず、処置後の長期的な栄養管理の重要性が示唆された。 |
索引用語 | 閉塞性黄疸, 栄養 |