セッション情報 シンポジウム6(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

画像強調内視鏡の現状と今後の展開-咽頭から十二指腸まで

タイトル 内S6-6:

IPCL分類 ∨3についての検討

演者 池田 晴夫(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 井上 晴洋(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 【目的】我々はこれまで、NBI拡大内視鏡診断において食道癌IPCL(intra-epithelial papillary capillary loop)パターン分類を用い、食道表在癌の深達度との相関を検討してきた。IPCL-∨1/∨2においては乳頭構造を模倣した構造を有する腫瘍上皮を背景としており、EP、LPM癌に相当するため、明確にESD適応病変と判断することができる。一方、IPCL-∨3は腫瘍微細血管が水平方向に走行しており、それは腫瘍の伸展に伴い、乳頭様構造が変形あるいは消失しているために生じる変化と考えられる。我々は∨3をA,Bに亜分類しており、∨3Aは血管径が∨1,∨2血管より細いかまたは同等程度。∨3Bは血管径が∨3A血管の2倍程度で走行が不整であり、深部方向へ走行することもあるため、表層からの観察では途絶してみえたり、caliber changeを伴うものと定義した。∨3の亜分類が深達度予測に有用であるかを検討した。【方法】2002年7月~2012年1月の間に内視鏡的に切除した食道癌547症例567病変の内、術前にIPCL‐∨3と診断した60病変についてretospectiveに深達度との関係を検討した。【成績】60病変の内∨3Aを呈した病変は40病変あり、20病変(50%)がM2以浅、18病変(45%)がMM/SM1、2病変(5%)がSM2以深であった。3Bを呈した病変が20病変であり、5病変(25%)がM2以浅、9病変(45%)がMM/SM1、6病変(30%)がSM2以深であった。 【結論】∨3Aを呈する病変はM2以浅の病変とMM/SM1の病変はほぼ同数であった。SM2以深癌は少数であり、相対適応を含めた内視鏡治療の適応決定に有用と考えられた。∨3BにおいてはSM2以深癌が30%に認められ、内視鏡治療の適応決定には、通常観察を合わせた深達度診断やEUSなど他のmodalityを併用した治療方針決定が必要と考える。
索引用語 IPCL分類, NBI拡大内視鏡診断