セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(症例報告/その他)

タイトル 消P-152:

後期高齢者に対する内視鏡的総胆管結石治療の安全性とADL低下などの問題点の検討

演者 川端 利博(公立山城病院・消化器科)
共同演者 新井 正弘(公立山城病院・消化器科), 黒田 雅昭(公立山城病院・消化器科)
抄録 【背景および目的】高齢化社会に伴い総胆管結石の高齢者は増加していくものと思われる。高齢者では重篤な併存症で状態不良な症例も多く、入院後のADL低下なども考慮し治療戦略を立てる必要がある。まず、後期高齢者に対する内視鏡治療の安全性と検討した。完全採石を目指した場合ステント治療に比べ処置が増えることが度々ある。次に、処置回数を増やしてまで完全採石を目指す妥当性を検討するために完全採石の安全性と複数回の処置が高齢者に与える影響を検討した【対象】当院で過去4年間の内視鏡的総胆管結石治療287例を後期高齢者群169例と非後期高齢者群118例に分け偶発症発生率、胆管炎合併率、入院期間などを検討した。後期高齢者を完全採石群98例とステント留置群例51例に分け入院期間、偶発症発生率などを検討した。【結果】後期高齢者群では入院時併存症の割合、胆管炎合併率の割合が多かったものの内視鏡処置の偶発症発生率は変わらなかった。ただし入院期間は有意に長かった。長期入院の原因の半数は入院中の廃用の進行やADL低下であった。完全採石群とステント治療群を比較したところ処置回数は完全採石群で多かったものの、入院期間や偶発症発生率では差はなく、再発率は完全採石群で低く、また再発までの期間も完全採石群で長かった。【結語】総胆管結石内視鏡治療は後期高齢者でも比較的安全な治療であるが、入院中のADL低下などに注意が必要である。また、完全採石はステント留置に比べ安全性は変わらず第一選択である。ただし、完全採石ではより多くの処置回数が必要となり患者の負担は増えるものと思われ、重篤な合併症やADL不良な症例では1回の処置で完全採石できない場合は患者の負担軽減のため、ステント治療も第一選択としてもよいと思われた。
索引用語 後期高齢者, 総胆管結石