セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(症例報告/その他)

タイトル 消P-153:

90歳以上の超高齢者に対する総胆管結石の内視鏡的治療

演者 柘野 浩史(津山中央病院・消化器・内視鏡センター)
共同演者 馬場 雄己(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 岡崎 倫子(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 濱田 健太(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 山崎 泰史(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 高山 裕基(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 竹本 浩二(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 竹中 龍太(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 平良 明彦(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 藤木 茂篤(津山中央病院・消化器・内視鏡センター)
抄録 【目的】経乳頭的内視鏡治療は低侵襲で、高齢者にも安全であることを我々は報告してきた。しかし、90歳以上の超高齢者では重篤な基礎疾患や寝たきりなどのため、内視鏡的処置そのものが困難と予想される症例に遭遇する。今回我々は、最も条件が厳しいと考えられる超高齢者に焦点を当てることによって、後期高齢者の総胆管結石症例の内視鏡的治療戦略について検討した。【対象と方法】当院で内視鏡的治療を実施した、75歳以上の後期高齢者の総胆管結石症例の963件(平均83.9歳)で、このうち超高齢者は148件(平均93.4歳、最高齢108歳)(超高齢群)であった。これらと、残りの75-89歳の症例 (対照群)とで、それぞれ内視鏡的十二指腸乳頭切開術(EST)(34件、317件)、内視鏡的胆道ステント留置術(EBS)(84件、220件)などを実施した。【成績】超高齢群では、発症時に平熱(18.3%)で腹痛なく(58.5%)症状に乏しい症例が見られたが、対照群と差は認めなかった。重症度も両群で差は認めなかった。処置時間は、超高齢群と対照群は差はなかったが、両群ともEBS症例がEST症例よりも著明に短かった(p<0.01)。処置後の在院日数は両群で差はなかったが、両群ともEBS症例がEST症例よりも短かった(p<0.05)。短期合併症は、超高齢者群ではEST症例の10.6%、長期間EBS例の1.3%と、ESTにやや多くみられた。大半の合併症は軽症であったが、ESTの1例は重症膵炎で死亡した。これらの合併症は、処置時間が長い症例に多いようであった。また、長期合併症として、EBS例の33.3%、EST例の14.7%に胆管炎の再発を認めたが、いずれも安全に内視鏡的再治療が可能であった。【結論】1)超高齢者総胆管結石の内視鏡的治療では、頻度は少ないが重篤な合併症を生じる危険性がある。2)処置時間の短い手技を選択したほうが安全と考えられた。3)長期余命が望めない超高齢者では、EBS留置を繰り返し実施するほうが、安全かつ早期離床にも有利と考えられた。
索引用語 総胆管結石, 内視鏡的治療