セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(症例報告/その他)

タイトル 消P-155:

肝内結石症における肝内胆管癌危険因子の解析

演者 鈴木 裕(杏林大・外科)
共同演者 森 俊幸(杏林大・外科), 阿部 展次(杏林大・外科), 正木 忠彦(杏林大・外科), 杉山 政則(杏林大・外科)
抄録 〔背景と目的〕肝内結石症の診療において、胆管癌の合併は予後や治療成績に大きく影響し、臨床上の大きな問題点である。今回、全国調査で登録された肝内結石症を対象に、胆管癌合併の危険因子を解析した。〔方法〕2006年に行われた、全国調査の登録症例336例/319施設のうち、性別や年齢、発症時から治療開始までの期間、胆道疾患の既往、胆道再建の既往、併存疾患、臨床症状、結石部位、結石種類、胆道狭窄、胆道拡張、肝萎縮、UDCA内服、治療後の症状の有無、結成再発の14項目すべてに回答を得た325例が対象。胆管癌の合併例(23例、性別:男性11例、女性12例、平均年齢:67歳)と非合併例(302例、性別:男性161例、女性150例、平均年齢65歳)に分けχ2検定を施行。P<0.25となった項目に対してロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行い、胆管癌合併の危険因子を抽出した。〔結果〕χ2検定では、他の悪性腫瘍の合併、胆道再建の既往、胆管拡張、肝萎縮、UDCA内服、治療後の症状の6項目がp<0.25であった。これらに対しロジスティック回帰分析を行うと、胆道再建の既往例(オッズ比3.718)、肝萎縮例(オッズ比4.424)が胆管癌の危険因子として抽出された。また、肝萎縮を認める胆管癌合併例(8例)を検討すると7例(87.5%)に萎縮肝と胆管癌発生部位が一致した。〔結論〕萎縮肝は肝内胆管癌合併のリスクとなり、可能な限り切除すべきであると思われた。胆道再建は将来胆管癌発生のリスクとなるため、胆管癌合併という観点からは肝内結石症に対する治療として望ましくない可能性が示唆された。
索引用語 肝内結石症, 肝内胆管癌