セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(基礎)1

タイトル 消P-159:

膵癌における新規足場蛋白Akt kinase-interacting protein 1 (Aki1) の発現と臨床病理学的検討

演者 大坪 公士郎(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科)
共同演者 山田 忠明(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科), 金 鉄峰(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科), チョウ ルウ(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科), 石川 大輔(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科), 南條 成輝(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科), 竹内 伸司(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科), 毛利 久継(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科), 山下 要(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科), 安本 和生(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科), 北川 裕久(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 太田 哲生(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 池田 博子(金沢大附属病院・病理部), 矢野 聖二(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍内科)
抄録 【目的】2008年にPI3K/PDK1/Akt経路に関与する新規足場蛋白であるAkt kinase-interacting protein 1 (Aki1) が同定された。また、Aki1はEGFRシグナルに特異的に作用することが報告されている。しかし、膵癌におけるAki1に関する検討は行われていない。我々はいくつかの膵癌細胞株においてAki1が発現し、その発現抑制により細胞増殖が抑制されることを確認した。今回膵癌組織におけるAki1の発現につき検討し、臨床病理学的因子との対比を行った。【対象と方法】対象は当院外科にて切除された膵癌症例60例であり、年齢は33~80歳 (平均63.9歳)、性別は男性40例、女性20例、腫瘍の占拠部位は頭部30例、体尾部30例であった。組織検体を用いてAki1の免疫染色を行い、染色されないものを0、背景膵正常組織と比較して弱く~同程度に染色されたものを1+、強く染色されたものを2+とした。さらに腫瘍占拠部位 (頭部 v.s. 体尾部)、腫瘍径 (TS 1, 2 v.s. 3, 4)、組織型 (tub1 v.s. tub2, por)、病期 (Stage I, II v.s. III, IV; UICC)、予後 (手術日からの生存2年未満 v.s. 2年以上) などの臨床病理学的因子との比較検討を行った。【結果】膵癌組織におけるAki1発現は、0, 1+を低発現、2+を高発現とすると、低発現が51例 (85%:0 4例、1+ 47例)、高発現が9例 (15%) であった。Aki1の染色性と臨床病理学的因子との明らかな相関は認めなかった。また、Stage Iの症例の中にも Aki1が高発現している症例がみられた。【結語】膵癌におけるAki1の発現は全体で15%であった。症例の選択は必要ではあるが、Aki阻害は膵癌に対する新たな分子標的治療法となる可能性が示唆された。
索引用語 膵癌, Aki1