セッション情報 シンポジウム6(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

画像強調内視鏡の現状と今後の展開-咽頭から十二指腸まで

タイトル 内S6-7:

新画像強調機能の食道扁平上皮癌に対する有効性の検討

演者 小田島 慎也(東京大大学院・消化器内科学)
共同演者 藤城 光弘(東京大附属病院・光学医療診療部), 小池 和彦(東京大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】近年の内視鏡画像強調機能の開発により食道扁平上皮癌(ESCC)の診断能が向上している。現在、HOYAペンタックスライフケア事業部から新たな画像強調機能として、光学フィルターを用いた光学法3種類A、B、C(開発コンセプトは、A:微小血管の強調、B:光量増加と微小血管の強調、C:光量増加と微小血管の強調、深部情報の取得)と各光学法専用の画像処理を追加した光デジタル法3種類A’、B’、C’(画像処理開発コンセプトは、A’:血管層構造を分離し、血管視認性を向上、B’:白色光に近づけ、血管を強調、C’:より白色光に近い画像で血管視認性を向上)が開発されており、これらのESCC診断に対する有効性の検討を行った。【方法】対象は2011年11月から2012年2月まで当院で内視鏡切除を行ったESCC10症例(深達度:EP/LPM/MM/SM=3/3/3/1)。切除直後の検体を白色光(WL)、光学法3種、光デジタル法3種で病変境界の拡大観察(約80倍)を行い、正常上皮と腫瘍内血管間背景粘膜の色調差(色差1)と、腫瘍内血管間背景粘膜とIPCLの色調差(色差2)を求め、各強調機能を比較した。色調差は客観的な色差を表す指標であるΔE94を用いた。【結果】WL, A, B, Cの色差1の平均値は8.7, 11.2, 10.4, 15.1、色差2は17.5, 22.4, 23.7, 23.6で、白色光に対する上乗せ効果は光学法3種すべてで有意であった。また光学法に対する光デジタル法の上乗せ効果は、色差2におけるA’で有意であった(色差2のA’の平均値29.7、P<0.0001)。色差1では光学法に対する光デジタル法の上乗せ効果は有意でなかったが、光デジタル法で高い傾向にあり、特にC’の色差は最も高い数値であった(色差1のC’の平均値15.5、P=0.192)。【結論】新しい画像強調機能によるESCCの内視鏡画像は、白色光に対する光学法の、光学法に対する光デジタル法の上乗せ効果が期待できる。特にC’はスクリーニング検査やSCCの範囲診断に対して、A’はSCCの深達度診断に対して、臨床での有効性が期待できる強調機能であると考える。
索引用語 画像強調内視鏡, 食道扁平上皮癌