セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(基礎)1

タイトル 消P-160:

ヒト膵癌におけるSTAT5の発現および臨床病理学的検討

演者 松下 晃(日本医大・外科)
共同演者 川本 聖郎(日本医大・外科), 清水 哲也(日本医大・外科), 川野 陽一(日本医大・外科), 水口 義昭(日本医大・外科), 吉岡 正人(日本医大・外科), 松谷 毅(日本医大・外科), 松本 智司(日本医大・外科), 中村 慶春(日本医大・外科), 相本 隆幸(日本医大・外科), 平方 敦史(日本医大多摩永山病院・外科), 横山 正(日本医大多摩永山病院・外科), 吉田 寛(日本医大多摩永山病院・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 膵癌の予後は不良であり、その治療は非常に困難である。Signal transducers and activators of transcription (STAT) は7種類のファミリーを持つサイトカイン、および増殖因子受容体により活性化される細胞内蛋白である。そのなかでSTAT3は膵癌において発現、活性化が確認され、その増殖、浸潤との関連が報告されている。一方、STAT5は白血病、乳癌、前立腺癌、頭頚部癌、肝細胞癌で恒常的に活性化しており癌細胞の増殖、アポトーシス、浸潤、epithelial-mesenchymal transition (EMT) への関与が示唆されている。しかし膵癌におけるSTAT5の発現、活性化、その役割は明らかではない。そこで我々はヒト膵癌におけるSTAT5a、5bの発現、活性化について検討を行った。RT-PCR法にてヒト膵癌細胞株AsPC-1、BxPC-3、Capan-1、HPAF-2、MIAPaCa-2、PANC-1、PK-45H、SW1990のSTAT5a、5bのmRNA発現を検討したところ全ての細胞株にSTAT5a、5b mRNA発現が認められた。またWestern Blot法による検討では全ての細胞株でSTAT5a、5b蛋白の発現が認められた。さらに両蛋白の活性化についてconfocal microscopyにより検討したところ、PANC-1にてSTAT5a、STAT5b蛋白の活性化を示す癌細胞核内での発現が確認された。ヒト膵癌組織28例のパラフィン切片を用いた免疫組織学的検討ではSTAT5aの活性化を示す膵癌細胞の核内での発現は39%で認められた(11/28) のに対して、STAT5bでは71%(20/28)であった。臨床病理学的検討ではSTAT5Bの核内発現とdpm陽性率との関連が認められた。以上のことより膵癌においてSTAT5a、5b mRNA、蛋白の発現、活性化が確認された。またヒト膵癌組織においてはSTAT5bの活性化が認められ、その浸潤との関連が示唆された。
索引用語 膵癌, STAT5