セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(基礎)1

タイトル 消P-164:

膵がん治療におけるgemcitabineと紫外線(UV-C)の併用効果について

演者 足立 政治(岐北厚生病院DELIMITER岐阜大・消化器病態学)
共同演者 安田 一朗(岐阜大・消化器病態学), 河口 順二(岐阜大・消化器病態学), 山内 貴裕(岐阜大・消化器病態学), 中島 賢憲(岐阜大・消化器病態学), 齋藤 公志郎(岐北厚生病院), 森脇 久隆(岐阜大・消化器病態学)
抄録 [背景] 現在、切除不能膵がんに対してgemcitabineを中心とした多剤併用化学療法が行われているが、その治療成績は十分ではない。われわれは最近、膵がん細胞において短波長紫外線(UV-C)照射 (200 J) が上皮成長因子受容体(EGFR)の脱感作を引き起こし、細胞増殖抑制およびアポトーシスを誘導することを報告したが、今回UV-C照射とgemcitabineの併用効果について検討した。[方法] 膵がん細胞Panc1, KP3に対しUV-C照射, gemcitabineおよびこれらの併用処理を行い、その影響についてMTT assay, BrdU assay, Hoechst 33258染色, Western blottingでPARPの分解を検討した。またEGFR蛋白レベル、Akt、AMPKシグナル系への影響についてWestern blottingで検討した。[結果] 低用量UV-C (10 J) 照射と低用量gemcitabine (10 μM) はそれぞれ単独では何ら影響を及ぼさないものの、これらを併用処理すると細胞増殖能の抑制、アポトーシス誘導が見られた。また併用処理によりEGFR蛋白レベルの減少、EGF刺激によるAktの活性化、続くβ-カテニンの蛋白レベルの減少が観察された。さらに、併用処理によりAMPKの活性化がみられることからこの相乗効果のメカニズムにAMPKの関与が疑われた。そこでAMPK活性化剤であるAICARを投与したところ細胞増殖抑制・アポトーシス誘導が見られた。[結論] gemcitabine投与に紫外線UV-C照射を併用することにより、AMPKの活性化を介した膵がん細胞増殖抑制およびアポトーシス誘導を引き起こすと考えられた。これらの知見は膵がん治療に新たな展開をもたらすものと思われる。
索引用語 gemcitabine, 紫外線