セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓(基礎)2 |
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タイトル | 消P-166:miR-197は膵癌細胞のEMT誘導因子であり、p120 catenin発現を制御する |
演者 | 濱田 晋(東北大・消化器内科) |
共同演者 | 佐藤 賢一(宮城県立がんセンター研究所・がん幹細胞研究部), 三浦 晋(東北大・消化器内科), 廣田 衛久(東北大・消化器内科), 菅野 敦(東北大・消化器内科), 正宗 淳(東北大・消化器内科), 菊田 和宏(東北大・消化器内科), 粂 潔(東北大・消化器内科), 海野 純(東北大・消化器内科), 江川 新一(東北大・肝胆膵外科), 元井 冬彦(東北大・肝胆膵外科), 海野 倫明(東北大・肝胆膵外科), 下瀬川 徹(東北大・消化器内科) |
抄録 | 【目的】膵癌は周囲組織への浸潤や遠隔転移により根治が困難な消化器癌である。その浸潤転移機構には様々な分子メカニズムが関与することが報告されてきたが、近年になり蛋白質をコードしないnon-coding RNAに属するmiRNAが癌の浸潤に関与することが明らかとなっている。本検討では癌細胞の浸潤性増殖に関わる新規miRNAの同定と機能解析を行った。【方法】浸潤性膵癌、IPMA、IPMCの手術標本よりmicrodissectionにて抽出した腫瘍腺管よりRNAを抽出。マイクロアレイにてmiRNA発現プロファイルを比較した。浸潤性膵癌で高発現がみられたmiR-197について、膵癌細胞株で強制発現を行い、機能解析を行った。データベース解析からmiR-197標的遺伝子としてp120 cateninを同定し、3’UTR assayにてmiR-197との相互作用を確認。siRNAによるノックダウンで機能を解析した。手術検体でのmiR-197発現、p120 catenin発現はin situ hybridizationと免疫組織化学で確認した。【成績】miR-197強制発現により膵癌細胞株の遊走能・浸潤能は増加し、上皮マーカーのE-cadherin発現低下と間葉系マーカーのVimentin発現上昇がみられ、EMTが誘導されたことを確認した。p120 cateninのmRNAとmiR-197の相互作用は3’UTR assayにて確認され、p120 cateninはmiR-197の直接の標的であることが判明した。p120 cateninノックダウンはmiR-197強制発現と同様に膵癌細胞のEMTを誘導した。手術検体でのmiR-197発現とp120 catenin発現は相互排他的であり、特に癌の浸潤部ではmiR-197発現が増加しp120 catenin発現が低下していた。【結論】膵癌におけるmiR-197高発現はp120 cateninの発現低下に寄与し、浸潤性膵癌で細胞極性が失われる分子機構の一翼を担っているものと推測された。miR-197/p120 cateninを介する経路は膵癌の浸潤性獲得に貢献しており、新規治療標的としての応用が期待される。 |
索引用語 | miR-197, 膵癌 |