セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(基礎)2

タイトル 消P-167:

膵癌の新たな補助療法開発にむけて:EP受容体拮抗薬PGE2作用抑制とCXCL産生阻害についての検討

演者 佐竹 真(兵庫医大・地域総合医療学DELIMITERDavid Geffen School of Medicine at UCLA)
共同演者 G.  Eibl(David Geffen School of Medicine at UCLA), 橋本 学(兵庫医大・地域総合医療学), 西井 真(兵庫医大・地域総合医療学), 山本 憲康(兵庫医大・地域総合医療学), 石川 英明(兵庫医大・地域総合医療学), 下村 壮治(兵庫医大・地域総合医療学), V. L.  Go(David Geffen School of Medicine at UCLA), 福田 能啓(兵庫医大・地域総合医療学)
抄録 目的;膵癌は予後不良の疾患である。その増殖進展にはアラキドン酸(AA)からのCOX2依存性ProstaglandinE2(PGE2)産生とIL-8等のELR陽性CXCL(ELR+CXCL)が重要である。PGE2はEP2/4受容体と結合しcAMPなどを増加させ、腫瘍増殖を促進する。一方でCOX2選択的阻害薬やEP2とEP4受容体の拮抗薬(EP2-AT,EP4-AT)はPGE2活性を抑制し、COX2陽性膵癌細胞(COX2+PaCa)の増殖を抑制する。近年他の癌ではCOX2、PGE2発現とELR+CXCLs産生の関連が証明されている。しかし膵癌ではその関連は不明である。今回我々は膵癌の補助療法の開発を目的とし以下の実験を行った。方法: COX2+PaCa:BxPc-3(B)とCOX2陰性PaCa:Mia-PaCa-2(M)を用いELR+CXCLのCXCL8(IL-8)の発現につき検討。AAにてPGE2産生を誘導、EP2-, EP4-AT投与後の細胞増殖とCXCL8産生を測定、COX-2依存性PGE2産生とELR+CXCLの関連につき検討した。成績:無刺激下でもBではCXCL8が著明に上昇、AA刺激後も著明に上昇していた。一方でMではCXCL8の上昇は認めなかった。B では、AA刺激後のPGE2による細胞増殖とCXCL8産生はEP2-、EP4-AT投与により抑制された。結論:膵癌においてもCOX-2の発現はELR+CXCLの産生に関与しており、AAの刺激によりその産生は増加し、EP2-, EP4-AT投与によりその産生が抑制された。COX2依存性PGE2産生とELR+CXCL産生の関連は今後更なる解析が必要であるが、EP2/EP4受容体拮抗薬はCOX2依存性PGE2の作用のみならず、CXCL産生も抑制し、膵癌の新たな補助的治療となり得る可能性も示唆された。
索引用語 膵癌, PGE2