セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(基礎)2

タイトル 消P-168:

膵癌周囲線維芽細胞のFibroblast activation protein発現程度から見た生存期間の検討

演者 河瀬 智哉(川崎医大・肝胆膵内科)
共同演者 吉田 浩司(川崎医大・肝胆膵内科), 富山 恭行(川崎医大・肝胆膵内科), 仁科 惣治(川崎医大・肝胆膵内科), 原 裕一(川崎医大・肝胆膵内科), 日野 啓輔(川崎医大・肝胆膵内科)
抄録 【目的】固形癌は独自のパラクライン機構により周囲の線維芽細胞の機能を変化させる。これらの線維芽細胞(carcinoma associated fibroblast)はfibroblast activation proteinα(以下FAPα)を発現すると同時に種々のサイトカインを産生することで周囲の免疫担当細胞の機能を減弱させ、癌の発育に有利な微小環境を作り上げる。今回われわれは膵癌切除標本を用いてFAPα発現程度と予後との関連を検討したので報告する。【方法】2008年1月~2010年12月の間に当院で切除した30例の膵癌症例に対して抗FAPα抗体を用いて免疫染色を行った。膵癌周囲線維芽細胞のFAPα発現程度は、陰性/1+/2+/3+の4段階に半定量化した【結果】膵癌のStage(JPS)内訳はStage1: 2例、Stage2: 1例、Stage3: 13例、Stage4a: 14例、組織型は管状腺癌:28例、腺扁平上皮癌:1例、乳頭腺癌:1例、分化度は高分化:4例、中分化:23例、低分化: 2例で1例が微小浸潤癌あった。線維芽細胞のFAPα発現程度は、陰性:2例、1+:8例、2+:16例、3+:4例であった。FAPα発現程度別に見た50%生存期間は陰性: 1191日、1+: 835日、2+: 382日、3+: 271日であり、FAPαの発現が低いほど有意に予後は良好であった。一方、FAPα発現程度とstage、組織型、分化度には明らかな関係を認めなかった。【結語】膵癌周囲線維芽細胞のFAPα発現は予後を規定する重要な因子のひとつと考えられた。
索引用語 fibroblast activation protein, 膵癌