セッション情報 |
シンポジウム6(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
画像強調内視鏡の現状と今後の展開-咽頭から十二指腸まで
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タイトル |
内S6-8:微小胃癌に対するNBI併用拡大内視鏡観察の有用性
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演者 |
藤原 昌子(福岡大筑紫病院・消化器内科) |
共同演者 |
八尾 建史(福岡大筑紫病院・内視鏡部), 岩下 明徳(福岡大筑紫病院・病理部) |
抄録 |
【目的】5mm以下の微小胃癌の通常内視鏡のみによる診断には限界がある。拡大内視鏡は胃癌の質的診断には有用と報告されているが、微小病変のみを対象とした診断能は不明である。今回我々は微小病変のみを対象とし、通常内視鏡とNBI併用拡大内視鏡の診断能を比較検討したので報告する。【方法】2006年1月から2011年12月までに当院にてESDを施行した胃癌678例のうち、微小胃癌と診断された31例(平均年齢70.8歳、男:女=23:8)31病変を対象とした。また、同時期に上部消化管内視鏡を施行した25133例のうち、1. 色素内視鏡を施行、2. 拡大内視鏡を施行、3. 生検を施行、の3項目を満たし、連続的に検索し得た5mm以下の非癌と診断された29例29病変(平均年齢68.6歳、男:女=19:10)を対照に用いた。これらの内視鏡画像を順不同に並べ、それぞれの診断を知らせず、1名の内視鏡医が癌・非癌を診断した。癌の診断基準は、色素内視鏡観察 : 隆起では表面性状・辺縁形状の不整、陥凹では不整な棘状境界・蚕食像)、拡大内視鏡観察(VS classification system): IMVP with DLまたはIMSP with DLとした。また他施設の内視鏡医がこれらの診断を同じ手順で行いinterobserver variationを求めた。【成績】色素内視鏡vs. 拡大内視鏡の感度・特異度・正診率は、色素内視鏡 : 51.6% (95%CI; 34.4 - 69.6)、55.2% (36.9 - 73.1)、51.7% (39.4 - 64.6)、拡大内視鏡 : 80.6% (95%CI; 67.2 - 94.8)、86.2% (73.4 - 98.6)、81.7% (72.2 - 91.7)であった。2名の内視鏡医の拡大内視鏡観察のinterobserver variationはκ=0.46であった。【結論】微小病変のみを対象とした場合、NBI併用拡大内視鏡は従来の色素内視鏡と比較して高い診断能を有する可能性がある。しかしκ値は0.46に留まっており、安定した診断能を得るため、所見を正しく捉えるトレーニングが今後必要と考えられた。 |
索引用語 |
微小胃癌, NBI併用拡大内視鏡 |