セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(診断)1

タイトル 消P-172:

膵腫瘤性病変に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)検体の取り扱い~on-site cytopathologistがいない施設の現況~

演者 原田 賢一(鳥取大・機能病態内科)
共同演者 武田 洋平(鳥取大・機能病態内科), 松本 和也(鳥取大・機能病態内科), 八島 一夫(鳥取大・機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大・機能病態内科)
抄録 【はじめに】膵腫瘍性病変の診断におけるon-site cytopathologistによる迅速細胞診は、その正診率向上に寄与しているとの報告がある。しかし、どの施設でも可能ではないのが現状である。On-site cytopathologistのいない当院の膵腫瘤性病変に対するEUS-FNAの成績について報告する。【対象】2007年1月~2012年1月までに膵腫瘤性病変に対してEUS-FNAを施行した111病変(穿刺件数117件)を対象とした。【方法】内視鏡はUCT240-AL5及びUCT260(Olympus)、観測装置はProSound α10(Aloka)を使用し、穿刺針は22Gあるいは25G針を用いた。【検体取り扱い】1.穿刺後、穿刺針へのスタイレット挿入及び生理食塩水注入により検体をシャーレ上に押し出す。2.我々で確認した透明~白色組織片及び糸ミミズ状凝血を組織診用にホルマリン瓶に入れる。3.残りの液を生理食塩水で適度に希釈し、細胞診とK-ras遺伝子変異検査(BML)に提出する。【成績】検体採取率95.7%、膵腫瘍性病変における組織診の成績は、感度87.0%、特異度100%、正診率89.3%であった。細胞診は101件で施行し、感度70.7%、特異度100%、正診率76.2%であった。K-ras遺伝子変異検査は43件に施行し18例で陽性、膵癌では53.3%(16/30)で陽性であった。組織診断可能であった膵腫瘍の内訳は、膵管癌67例、神経内分泌腫瘍14例、solid-pseudopapillary neoplasm 4例、腺房細胞癌1例、悪性リンパ腫1例、形質細胞腫1例、腎細胞癌膵転移1例であった。【考察】on-site cytopathologistのいない当院における成績はこれまでの報告と比較して遜色のない結果であった。当科は組織診を重視した検体の取り扱いをしており、細胞診やK-ras遺伝子変異検査用の検体はかなり少量のため、それらの成績は組織診に劣るが、ある程度補完できる可能性が示唆された。内視鏡医の技術向上、病理医及び検査技師の検体取り扱いの習熟などが今回の成績につながっているものと考えられた。
索引用語 EUS-FNA, on-site cytopathologist