セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(診断)1

タイトル 消P-174:

膵疾患における造影超音波検査の有用性

演者 野々垣 浩二(大同病院・消化器科)
共同演者 小川 和昭(大同病院・消化器科), 藤城 卓也(大同病院・消化器科), 榊原 聡介(大同病院・消化器科), 印牧 直人(大同病院・消化器科)
抄録 【背景】超音波診断における膵疾患の鑑別診断においては、血行動態を加味した造影超音波検査(CE-US)が質的診断に有用である可能性が報告されている。今回我々は、当院で施行した膵疾患に対する第二世代超音波造影剤Sonazoidを用いたCE-USの有用性について検討した。【対象と方法】対象は2010年4月から2012年3月までに当院で施行したCE-USの膵疾患13例。疾患の内訳は、膵管癌8例、自己免疫性膵炎2例、腫瘤形成性慢性膵炎1例、転移性膵腫瘍1例、膵腺房細胞癌1例である。使用装置はGEヘルスケア社製LOGIQ7、LOGIQE9。使用造影剤はSonazoidで、0.015ml / kgを急速静注した。造影開始後の1分間を連続観察し、3分後、5分後に15秒間観察した。得られたデーターはraw dataとして保存し、検査終了後、解析ソフトにて、正常膵実質および腫瘤内部にROI(Regio of Interest)を設定、Time Intensity Curve(TIC)を作成した。尚、膵疾患におけるSonazoid使用CE-USについては、適応外使用として当院の倫理委員会に承認の上、施行した。【結果】Sonazoid造影後からTICでピークを示すまでの造影パターンにおいては、いずれの疾患においても正常膵実質と同様にエコー輝度の上昇を認め、鑑別診断は困難であった。鑑別診断に有用であった所見は1分後の造影パターンで、膵管癌では全例で、正常膵実質と比較して腫瘤内部のエコー輝度低下を認めた。自己免疫性膵炎、腫瘤形成性慢性膵炎では1分後の造影効果が持続しており、この造影パターンにより良悪性の鑑別が可能性であることが示唆された。転移性膵腫瘍、膵腺房細胞癌では3分後、5分後においても腫瘤の強い造影効果が持続していた。また、転移性膵腫瘍では術後、腎癌の膵転移と診断され腫瘤内部での組織型の違いを認め、その所見はCE-USにて明瞭に描出された。【結語】膵疾患におけるCE-USはTICを用いた解析により鑑別診断の向上に有用である。
索引用語 膵疾患, 造影超音波