セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
膵臓(診断)2
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タイトル |
消P-177:EUS-FNAB検体中hENT1発現による局所進行膵癌gemcitabine併用化学放射線療法の予後予測
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演者 |
高山 玲子(三重大附属病院・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
村田 泰洋(三重大・肝胆膵・移植外科), 伊佐地 秀司(三重大・肝胆膵・移植外科) |
抄録 |
【目的】当院ではEUS-FNAB/ERCP等で確定診断した局所進行膵癌に対しgemcitabine併用化学放射線療法(GEM-CRT)を施行、切除可能症例に対しては積極的に根治切除を行ってきた。当院の検討でGEMの細胞内輸送蛋白であるHuman equilibrative nucleoside transporter-1 (hENT1)の腫瘍内発現はGEM-CRTの治療効果と相関があり、今回、治療前EUS-FNAB検体と切除標本とのhENT1発現形式の相同性と治療成績との相関性を検討した。【方法】2005年2月~2010年7月でGEM-CRT施行後に治癒切除を行った55例(UICC-T3: 38例、T4: 17例)中、EUS-FNABを施行した34例中32例(94.1%)が確定診断を得たが、そのうちEUS-FNABでhENT1組織内発現の検討に十分な組織量を得た23例(UICC-T3: 16例、T4: 7例)を対象にGEM-CRT前後の膵癌組織中hENT1の発現変化とGEM-CRTの治療効果との相関を検討した。EUS-FNAB検体中のリンパ球をinternal controlとし、hENT-1発現の程度を陽性と陰性とに分類した。 臨床効果は、RESIST基準の腫瘍縮小効果とCA19-9減少率から判定し、PRかSDでかつCA19-9が 50%以上減少したものを臨床効果ありとした。【結果】EUS-FNAB検体組織中のhENT1発現の陽性率は69.6%;陽性16例(UICC-T3: 11例、T4: 5例)、陰性7例(T3: 5例、T4: 2例)で、切除標本での陽性率(70.9%)とほぼ同等であった。また、EUS-FNAB検体23例中20例(87.0%;T3: 87.5% (14/16)、T4: 85.7% (6/7))で切除標本とhENT1発現形式が一致した。hENT1陽性群は、生存期間(overall survival; OS)において1年生存率91.8%、3年生存率が50.6%と、陰性群の35.7%、0%に比べ有意に延長しており (p=0.0167)、無再発生存期間(recurrence free survival; RFS)も、陽性群で1年生存率43.8%、3年生存率29.2%で、陰性群の28.6%、0%より有意に良好であった(p=0.0208)。【結論】EUS-FNAB検体を用いた腫瘍内hENT1発現は、切除標本とほぼ同じ染色性を示し治療効果との相関も認め、予後予測因子としての可能性が示唆された。 |
索引用語 |
EUS-FNA, hENT1 |