セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(診断)2

タイトル 消P-180:

膵癌患者の臨床背景とリスクファクターの検討

演者 武田 洋平(鳥取大・機能病態内科)
共同演者 八島 一夫(鳥取大・機能病態内科), 松本 和也(鳥取大・機能病態内科), 河口 剛一郎(鳥取大・機能病態内科), 原田 賢一(鳥取大・機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大・機能病態内科), 奈賀 卓司(鳥取大・病態制御外科), 池口 正英(鳥取大・病態制御外科)
抄録 【目的】膵癌の診断は画像機器の進歩に伴い向上してきたが、なお発見時には進行しており切除不能である事が多い。早期発見には高危険群を設定し積極的にアプローチする事が重要である。今回我々は膵癌の患者・臨床背景を詳細に解析し、リスクファクターを検討した。【方法】2003年7月~2012年1月の間に当院で経験し、病理学的に診断した膵管癌122症例(男82:女40,平均年齢67.6歳,部位Ph:Pb:Pt=73:34:15,病期I:II:III:IVa:IVb=2:3:28:34:55)を対象とした。対照群は同期間に便潜血陽性で大腸内視鏡検査を施行した症例のうち、性、年齢を一致させた122例とした。患者背景として既往歴(生活習慣病、慢性膵炎、IPMN、他癌既往)、飲酒・喫煙歴、癌家族歴を男女間、症例対照間で比較し、血液型と肝炎ウイルス感染(HBsAg、HCV-Ab)についても確認した。臨床背景として初診時主訴、部位、病期の関連を検討した。【結果】膵癌症例における男女間の比較では男性で糖尿病、他癌既往、飲酒・喫煙歴、女性で高脂血症の既往が高率であった。症例対照間の比較において、膵癌群で糖尿病(27.0%,P=0.005)と他癌既往(31.3%,P=0.004)が高率で、男性での検討でも同様であった(32.9%;P=0.013,36.1% ; P=0.004)。女性に有意なものはなかったが、家族歴に乳癌を6例(15%)認め、喫煙に関連する癌を15例(37.5%)認めた。他癌既往35例(男26:女9)の内訳は、胃癌12例、大腸癌8例、腎癌4例、頭頚部癌3例、肝癌3例、膀胱癌2例、肺癌2例、子宮癌2例、その他4例であった(重複症例あり)。血液型はA型が多く(50.9%,P=0.035)、肝炎ウイルスはB型が8例(6.6%)、C型が5例(4.1%)、重複症例が1例(0.8%)であった。初診時主訴は背部痛が進行例に多かった。【結論】男性では消化管癌を中心とした他癌既往が新たな危険群の候補となる可能性が示唆された。女性では特徴的なリスクはなかったが、今後、家族歴、受動喫煙などの関係を明らかにする必要があると考えられた。
索引用語 膵癌, リスクファクター