セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(診断)2

タイトル 消P-181:

膵癌の早期診断におけるMRIの有用性

演者 藤本 佳史(廣島総合病院・消化器内科)
共同演者 瀧川 英彦(廣島総合病院・消化器内科), 野中 裕広(廣島総合病院・消化器内科), 古土井 明(廣島総合病院・消化器内科), 小松 弘尚(廣島総合病院・消化器内科), 徳毛 宏則(廣島総合病院・消化器内科), 石田 邦夫(廣島総合病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年、腹部臓器に対してもMRI検査が行われる様になり、膵癌の診断においてもその有用性が報告されている。当院でも2009年からMRIを胆膵疾患の診断に積極的に利用しており、小膵癌の診断におけるMRIの有用性について検討した。【対象と方法】2009年から2012年2月までの3年間に当院で診断した膵管癌114例のうち、A. MRIを施行した69例(DWI併用:51例、MRCP併用69例)を対象とし、腫瘤の描出能をEUS,CT,PET-CTと比較して検討した。B.特にTS1膵癌7例について、その特徴を検討した。尚、MRIの拡散強調(DWI)は、ADCマップからADC値を測定して検討した。【成績】A. 膵癌全体における腫瘤の描出率は、1.T1WI+T2WI:92.8%(64/69)、2.DWI単独:94.1%(48/51)、3.MRCP+DWI: 96.1%(49/51)、4.CT:94.2%(65/69)、5.PET-CT:88%(44/50)であった。6.DWIにおけるADC値の平均は1.35 x 10-3mm2/secで、1.5x10-3mm2/sec未満を膵癌の陽性所見とすると診断率は74.5%(38/51)と低値であった。B. TS1膵癌については、1.T1WI+T2WI:57.1%(4/7)、2.DWI単独:85.7%(6/7)、3.MRCP+DWI: 100%(7/7)、 4.CT:57.1%(4/7)、5.PET-CT:28.6%(2/7)、6.EUS:85.7%(6/7)でありMRI+DWIが腫瘍の指摘に最も有効であった。7. しかしながらADC値の平均は1.45 x 10-3mm2/secと比較的高く、1.5x10-3mm2/sec未満は71.4%(5/7)にすぎなかった。小さな膵癌については、DWIの信号の変化が軽微であることが多いものの、MRCPによる膵管像の形態を参考にすることで、腫瘤の指摘をより正確に行うことができると考えられた。【結語】MRIによる膵癌の診断は、DWIに加えてMRCPによる膵管・胆管所見を総合的に評価することで診断率が向上し、MDCTやEUSに匹敵する成績が得られた。特に小さな病変の指摘にはDWI+MRCPが有効であり、膵癌の早期診断に有用であると考えられた。
索引用語 膵臓癌, MRI