セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(急性膵炎)

タイトル 消P-183:

若年急性膵炎の検討:重症例でも経過が良好である

演者 藤島 裕耕(山本組合総合病院・消化器科)
共同演者 富田 一光(山本組合総合病院・消化器科), 横山 直樹(山本組合総合病院・消化器科), 高橋 裕也(山本組合総合病院・消化器科)
抄録 【目的】急性膵炎は50-60才台を中心に発症し若年や高齢者は少ない。急性膵炎ガイドラインより原因はアルコールと胆石が多く中年に多い理由と一致している。今回比較的アルコールや胆石症と関連の低い若年(35才以下とする)の当科入院急性膵炎について検討した(ERCP後膵炎は除く)【方法】H.20.1.-H.23.12.当院で診断し入院加療が必要であった9例の経過と重症度の検討【成績】対象は急性膵炎入院症例中13%。男性7例、女性2例、平均年齢29.0才。入院時の主訴は全例腹痛(心窩部5例、臍下3例、右季肋部1例)原因:アルコール4例、胆石1例、他特発性含む前記以外4例。基礎疾患:胆石保持1例、アルコール多飲1例、川崎病1例、精神発達遅滞1例、膵胆管合流異常0例。重症度:重症5例。CT Grade 1:2例、2:2例、3:3例(2例は施行不可)入院期間平均15.2日(重症20.8、非重症9.8)治療:集中治療(CHDF、動注療法や人工呼吸療法)はなく抗生剤や蛋白分解酵素阻害薬の点滴による保存的治療と重症例での経腸栄養療法の併用。経過:全例改善。合併症なし【結論】若年急性膵炎は頻度が少なく初診時強い自覚症状を伴っていた。黄疸や肝機能障害を初発とするよりも心窩部痛、下腹痛、熱発が多かった。4例は初診時急性胃腸炎として対応されていた。若年のため急性膵炎の可能性が除外されていたと思われる。しかし非侵襲的検査である尿中AMYは今回の検討で全例高値でありスクリーニングとして有用な可能性がある。原因は中年と異なり食事や少量のアルコール、川崎病など特徴的なものはなく家族歴も認めなかった。予後因子1点の重症例もありCTが重症度の決定因子であった。重症例と非重症例とも自覚症状、臨床経過、予後は類似しており、治療の反応性や経腸栄養の受容性は良く集中治療は不要であった。結語:若年膵炎では臨床徴候が軽微な重症例を認めることがある。また重症例でも入院期間がやや長いものの合併症を伴わず経過は良好であった。しかし集中治療が必要な際のタイミングや症例選択は更に検討が必要と考えられた
索引用語 若年急性膵炎, 予後