共同演者 |
今泉 弘(北里大病院・消化器内科), 山内 浩史(北里大病院・消化器内科), 奥脇 興介(北里大病院・消化器内科), 金 明哲(北里大病院・消化器内科), 宮澤 志朗(北里大病院・消化器内科), 岩井 知久(北里大病院・消化器内科), 中谷 研斗(北里大病院・救命救急センター), 竹澤 三代子(北里大病院・消化器内科), 木田 光広(北里大病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大病院・消化器内科), 相馬 一亥(北里大病院・救命救急センター) |
抄録 |
【目的】当院における重症急性膵炎(SAP)に対する膵局所動注療法(Continuas resional arterial infusion;CRAI)の治療成績を明らかにすること.【対象】2006年5月から2012年2月までに当院でSAPに対してCRAIを行った43例(男性33例,女性10例,平均年齢54.5歳).【方法】成因,厚生労働省急性膵炎重症度判定基準,治療内容,合併症,入院期間,生存率等をretrospectiveに検討した.【結果】SAPの成因はアルコール/胆石/脂質異常/膵管癒合不全/特発性=18/5/3/1/14例であった.厚生労働省急性膵炎重症度判定基準(2008)は,予後因子が0/1/2/3/4/5/6/7点=6/10/6/7/4/6/3/1例,CT Gradeが1/2/3点=1/30/12例であった.CRAIの詳細は,nafamostat mesilateとBiapenem(BIPM)の併用が38例,gabexate mesilateとBIPMの併用が1例,BIPM単独が4例であった.動注用カテーテルの留置血管は腹腔動脈が29例,上腸間膜動脈が10例,両動脈が4例であった.膵炎発症からCRAI開始までの平均期間は1.8日で,平均CRAI期間は6.1日であった.治療初日の平均輸液量は7946mlであった.人工呼吸器管理を25例,持続的血液濾過透析を12例に試行した.42例に経腸栄養を試行した.膵炎発症から経腸栄養開始までの平均期間は5日であった.合併症としては壊死性膵炎27例(63%),感染性膵壊死9例(21%),腸閉塞1例(2%),消化管出血4例(9%),血栓症19例(44%),膵仮性嚢胞32例(74%),膵膿瘍5例(12%)であった.感染性膵壊死あるいは膵膿瘍をきたした10例中7例にドレナージ術(嚢胞ドレナージ術3例,necrosectomy4例)を試行した.血栓症を生じた19例中17例がカテーテル関連血栓症であった.全43例の生存率は91%であった.死亡した4例の直接死因は2例が多臓器不全(MOF),1例が出血性ショック.1例が他病死(重症膵炎軽快後に急性心筋梗塞を発症)であった.【結語】SAPに対しCRAIに加え適切な集中治療を行うことにより,救命率の向上が得られる可能性が示唆された. |