セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(急性膵炎)

タイトル 消P-185:

重症急性膵炎における急性膵炎新・旧重症度判定基準の比較および治療に関する当院での検討

演者 大和 弘明(市立函館病院・消化器病センター消化器内科)
共同演者 木下 賢治(市立函館病院・消化器病センター消化器内科), 原田 一顕(市立函館病院・消化器病センター消化器内科), 川本 泰之(市立函館病院・消化器病センター消化器内科), 小川 浩司(市立函館病院・消化器病センター消化器内科), 畑中 一映(市立函館病院・消化器病センター消化器内科), 山本 義也(市立函館病院・消化器病センター消化器内科), 成瀬 宏仁(市立函館病院・消化器病センター消化器内科)
抄録 【目的】重症急性膵炎における急性膵炎新(2008年)・旧重症度判定基準の比較および治療についてretrospectiveな検討を行う.【方法】対象は2003年2月~2011年9月の期間,当院に入院した重症急性膵炎60例.新旧重症度判定基準の予後因子スコア,APACHE-IIスコアの経時的な判定(入院時:0時間(h)/24h/48h/72h),新旧予後因子項目,在院日数,輸液量(一日目,二日目),経腸栄養開始病日,選択的消化管殺菌(SDD)開始病日,動注療法,血液浄化療法(CHDF)について,生存例と死亡例における比較を行った(中央値表記,Mann-Whitney U検定).また,新旧造影CT gradeを分類し重症度判定に及ぼす影響を検討した.【成績】年齢中央値63歳(30-95),男女比43:17,死亡例13例(21.7%).膵炎の原因はアルコール21例,胆石18例,特発性・その他21例.生存例vs死亡例の比較では,新旧重症度判定基準の予後因子スコア,APACHE-IIスコアは0h/24h/48h/72hの各時間で,0hの新旧予後因子項目は年齢,BUN,Crのみで生存例より死亡例で有意に高値であった(各p<0.001).在院日数(37日vs26日),輸液量(一日目3550mlvs4254ml,二日目3652mlvs4218ml),経腸栄養開始病日(11病日vs13病日),SDD開始病日(15病日vs24病日)に有意差を認めなかった.動脈注療法は29例(22例vs7例)に行い施行日数(5日vs5日),カテーテル留置血管や脾臓に血栓を16例(55.2%:12例vs4例)に認めた.CHDFは16例(9例vs7例)に行い施行日数(5日vs4日)であった.0hの造影CTは96.7%(58/60)に行い,新基準CT grade1/2/3 (20/35/3),旧基準CT grade III/IV/V(14/43/1)で,新基準CT gradeのみで重症と判定された9例中5例は旧基準で中等症であった.【結論】新重症度判定基準で予後因子項目が簡便化されたが,CT gradeのみでの重症例を組み合わせ旧基準より早期に重症例を拾い上げることができた.しかし重症例では依然として予後不良であり,さらなる治療の開発が急がれる.
索引用語 重症急性膵炎, 急性膵炎重症度判定基準