セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(急性膵炎)

タイトル 消P-189:

後期高齢者胆石性膵炎に対する治療戦略

演者 小道 大輔(県立広島病院・消化器内科)
共同演者 桑田 幸央(県立広島病院・消化器内科), 國原 紗代子(県立広島病院・内視鏡内科), 辰川 裕美子(県立広島病院・消化器内科), 平本 智樹(県立広島病院・内視鏡内科), 平賀 裕子(県立広島病院・内視鏡内科), 渡邉 千之(県立広島病院・消化器内科), 北本 幹也(県立広島病院・消化器内科), 隅岡 正昭(県立広島病院・内視鏡内科)
抄録 胆石性膵炎は、急性閉塞性胆管炎を合併することが多く、双方の治療が必要とされる。急性膵炎診療ガイドラインにも、その診断は最も重要で優先すべき点であると記載されている。後期高齢者の場合は、重症化回避のため、より早急な診断治療が必要とされるが、基礎疾患の存在も多彩であり、診療上、解決すべき課題が多い。当院において、2010年5月~2012年1月の期間に、11例の後期高齢者胆石性膵炎(重症3例、軽症8例)を経験した。抗凝固療法4例、抗がん剤加療1例、肝膿瘍既往1例認めた。基本的に、結石嵌頓が解除され、胆管炎も軽症である症例をのぞき、胆管膵管ドレナージ目的にて、緊急ERCPを行っている。偶発症を避けるため、ESTは小切開にとどめ、膵管口を分離し、胆管ドレナージ術を施行している。抗凝固薬内服例では、ESTを行わず、膵管ステントを留置している。緊急ERCPを施行した9例中8例にEST小切開+ENBDを施行した。抗凝固療法中で、認知症も伴った1例に対しては、胆管ステントと膵管ステントを留置した。全例に偶発症はなく、急性期を乗り越えることができた。結石除去術は、膵炎、胆管炎が落ち着いた後、施行する。多数結石、大結石症例では、結石除去効率の改善目的でEPBDを追加している。EPBDは一般的には膵炎リスクが高いとされているが、EST後の乳頭に対し、二期的に施行するEPBDは、すでに膵管口が分離されているため、安全性が高いと考えている。同処置を施行した4例(胆石性膵炎以外の症例を含めると20例)に偶発症は認めなかった。緊急ERCPを施行しなかった残り2例に関しては、抗凝固療法中だったことから、保存的加療後にヘパリン化の上、EST、結石除去術を行った。【結論】後期高齢者胆石性膵炎の治療戦略として、EST小切開+ENBDは、胆石性膵炎に対する緊急治療として、有効で安全に施行することが可能な手技である。二期的EPBDの安全性に関しては、症例の蓄積が必要である。
索引用語 胆石性膵炎, 後期高齢者