セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(自己免疫性膵炎)

タイトル 消P-190:

ステロイド治療における自己免疫性膵炎の再燃とIgG4動態の関連性についての検討

演者 田原 純子(東京女子医大・消化器病センター消化器内科)
共同演者 門前 正憲(東京女子医大・消化器病センター消化器内科), 長尾 健太(東京女子医大・消化器病センター消化器内科), 高山 敬子(東京女子医大・消化器病センター消化器内科), 清水 京子(東京女子医大・消化器病センター消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器病センター消化器内科)
抄録 【背景】自己免疫性膵炎(AIP)は自己免疫機序が関連した疾患で、ステロイド(PSL)が奏功する。しかし、PSLの減量や中止後に再燃することがあり、維持療法や再燃の予測因子ついての明確な見解は得られていない。【目的】2000年4月から2012年2月までのステロイド(PSL)治療を行いIgG4(mg/dl)の経時的測定を行ったAIP症例32例について、AIPの再燃とIgG4動態の関連性について検討を行った。【方法】AIP再燃は、膵腫大例あるいは膵外病変があるものと定義し、PSLは30mg/日から開始し、2-4週間ごとに減量を行った。AIP再燃群と非再燃群における、PSL治療前の血清IgG4最高値(a)とPSL治療後の血清IgG4最低値(b)の差をデルタ(Δ)とし、Δと投与期間(day)の比を測定した。PSL治療後の血清IgG4はPSL投与開始9週以内の血清IgG4値とした。【結果】32例の内訳はAIP再燃群9例(硬化性胆管炎5例、涙腺腫大2例、肺門リンパ節腫脹1例、後腹膜腫瘍1例)、非再燃群23例であった。男女比は再燃群7:2、非再燃群16:7、平均年齢は再燃群62歳、非再燃例69歳であった。aの平均は再燃群338.1、非再燃群1047.9であり、Bの平均は再燃群160.2、非再燃群513.1であった。Δは再燃群2.0、非再燃群21.0であり、 AIP安定時の血清IgG4は再燃群148.7、非再燃群340.1であった。【考察】再燃群ではPSL治療前の血清IgG4最高値が低く、PSL治療後のIgG4最低値とAIP安定時の差が低かった。非再燃群ではΔ値が高く、AIP安定時ではさらに血清IgG4の低下が認められ、PSLに対する反応性が良好であると考えられた。【結語】血清IgG4の経時的変化はAIP再燃の予測因子の1つとなり、血清IgG4低値のAIPでは再燃のリスクが高いためとくに慎重な経過観察が必要と考えられた。
索引用語 自己免疫性膵炎, 血清IgG4