セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(自己免疫性膵炎)

タイトル 消P-192:

頭頸部領域の病理検索の後、肝胆膵領域病変が判明したIgG4関連疾患の3症例

演者 高谷 昌宏(姫路赤十字病院・消化器科)
共同演者 三浦 翔(姫路赤十字病院・内科), 岸田 裕志(姫路赤十字病院・内科), 深津 裕寿(姫路赤十字病院・消化器科), 高木 慎二郎(姫路赤十字病院・消化器科), 森下 博文(姫路赤十字病院・消化器科), 上坂 好一(姫路赤十字病院・内科)
抄録 頭頸部領域の病理検索でIgG4陽性形質細胞浸潤が観察される機会が増えてきた。我々はそのようなケースで、頭頸部以外の自覚症状を欠いたまま、同時性または異時性に肝胆膵領域病変が判明したIgG4関連疾患の3症例を経験した。【症例1】60歳代男性。左顎下腺腫脹のため耳鼻咽喉科を受診、診断目的で切除を受けた。病理でIgG4関連硬化性唾液腺炎と診断され内科に紹介。抗核抗体陰性、IgG 1578mg/dl、IgG4 215mg/dl。腹部CTで膵尾部の腫大と造影不良所見、後腹膜線維症、腎実質の限局的造影不良があり。ERCPで膵尾部膵管の限局性狭細化があった。PSL投与により膵尾部腫大は消失した。【症例2】60歳代男性。頸部リンパ節腫脹に対し生検を受けIgG4陽性形質細胞の浸潤があった。2年後糖尿病悪化のため近医で腹部USをうけ、膵腫大を指摘され当院内科受診。抗核抗体陰性、IgG 2688 mg/dl、IgG4 1830mg/dl。腹部CTではびまん性膵腫大があり。ERCPでは膵管狭細化があったが、胆道には異常所見なし。無治療で膵腫大は軽減した。定期的な経過観察にて5年後に膵石灰化が判明した。6年後肝機能検査値異常のため入院。MRCPでは肝門部胆管狭窄があった。PSL投与を行ったところ速やかに改善した。【症例3】50歳代男性。顎下リンパ節生検を受け、多数のIgG4陽性形質細胞の浸潤が観察された。3年後左副神経領域のリンパ節腫大のため内科紹介。抗核抗体陰性、IgG 1161mg/dl。画像診断では胸腹部臓器は冒されていなかった。定期的経過観察では、5年後に肺結節影が出現し7年後に多発性肝腫瘤が出現した。肝腫瘤出現時には末梢血で好酸球数増多があり、IgG 2178mg/dl、IgG4 1080mg/dl、IgE 6320IU/mlであった。肝腫瘤生検病理診断では、好酸球とIgG4陽性形質細胞の著明な浸潤を伴った炎症性偽腫瘍であった。【結語】頭頸部領域の病理検索でIgG4陽性形質細胞浸潤が観察されたケースに対して、領域を跨いだ効率的なフォローアップ手法の確立が望まれる。
索引用語 IgG4, 頭頸部領域