セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(自己免疫性膵炎)

タイトル 消P-193:

自己免疫性膵炎の各診断基準の比較-自己免疫性膵炎臨床診断基準2011の有用性について-

演者 菅野 敦(東北大・消化器内科)
共同演者 下瀬川 徹(東北大・消化器内科)
抄録 (はじめに) 2010年に公表された自己免疫性膵炎(AIP)の国際コンセンサス診断基準(International Consensus Diagnostic Criteria(ICDC))には、専門家を対象に作成されているために煩雑であること、日本のAIPは病理学的にLPSPの特徴を有するtype1が大部分でありtype2はほとんど存在しないことなどの問題点が存在する。そこでICDCと矛盾しない、尚かつ一般臨床家にも使用しやすいように配慮されたAIP臨床診断基準2011(DC2011)が公表されたが、その内容については不明な点も多い。(目的)AIPの各診断基準(AIP臨床診断基準2006(DC2006)、Asian Criteria、ICDC、DC2011)の診断能について検討すること。(対象)当科において診断したAIP78例を対象とした。(方法)AIP78例を各診断基準で診断し、その診断能を検討した。(結果)DC2006 では、合致/非合致 :71例(91%)/7例、Asian Criteriaでは、合致/非合致:74例(95%)/4例、ICDCでは、 Definitive type1 65例、Probable type1 1例、Definitive type2 1例、Probable type2 1例、AIP NOS 7例、診断できなかった症例(not diagnosed:ND)3例であった。NDを除いた症例をAIPと診断できたと判断するとAIPと診断できた症例は75例(96%)であった。DC2011では I.確診 65例 II.準確診断 0例 III.疑診 9例 ND 4例であった。疑診までをAIPと診断できたと考えると74例(95%)の症例はAIPと診断できた。ICDCとDC2011を比較すると、Definitive type1と診断された65例は全例、DC2011ではI.確診と診断された。Probable type1と診断された症例は、膵管像をとれなかったため、NDとなったが、Definitive type2 1例、Probable type2 1例、AIP NOS7例はDC2011ではIII.疑診に分類された。ICDCで診断出来なかった3例はDC2011でも診断できなかった。(まとめ)今回公表されたDC2011は、簡便な表記にもかかわらず、その診断能はICDCとほぼ同じであった。DC2011はType1の診断のみならず、それ以外のAIP非典型例の集積にも有用であることが示唆された。
索引用語 自己免疫性膵炎症, 診断基準