セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(自己免疫性膵炎)

タイトル 消P-197:

ALYマウスを用いた自己免疫性膵炎における膵炎・膵島炎の機序についての検討

演者 佐藤 悦基(昭和大・消化器内科)
共同演者 吉田 仁(昭和大・消化器内科), 田中 滋城(東京有明医療大・保健医療学部), 岩田 朋之(昭和大・消化器内科), 野本 朋宏(昭和大・消化器内科), 山﨑 貴久(昭和大・消化器内科), 湯川 明浩(昭和大・消化器内科), 本間 直(昭和大・消化器内科), 北村 勝哉(昭和大・消化器内科), 今村 綱男(虎の門病院・消化器科), 池上 覚俊(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科)
抄録 【背景】自己免疫性膵炎(AIP)では腺房細胞,導管細胞などの外分泌細胞のみならず内分泌細胞も障害される.著者らはAIP動物モデルであるALYマウスを用いて,膵炎などの膵外分泌細胞障害のほか膵島炎という膵内分泌細胞障害をきたし,その進展にTh2が関与する可能性を報告した.また,Th1活性化・Th2抑制作用を有する松毬由来のpolyphenylpropanoid-polysaccharide complex(PPC)を用いてTh1活性化・Th2抑制実験を行いTh2の膵炎の増悪作用の可能性についても報告した.【目的】PPCを用いてAIPにおける膵内分泌細胞障害=膵島炎に対する作用の検討を行った.【方法】ALY雄性マウスaly/alyをAIP群,aly/+を対照群とし,さらに各々を3グループ(PPC投与群<低濃度・高濃度>・蒸留水投与群)に分け,8週齢より2種類の濃度のPPCおよび蒸留水の経口投与をそれぞれ開始した.経時的に解剖し得られた膵組織において膵島炎の組織学的評価をimageJを用いて行った.さらに免染によりラ氏島をβ・α細胞別に解析した.【成績】AIP発症マウスの膵島炎に関して,蒸留水を投与した46週齢マウスのβ細胞面積は,対照群:96,700μm2と比べAIP群:16,261μm2と有意(p=0.0004)に低値となった.また,AIP群ではβ細胞が選択的に障害される膵島炎像が観察された.さらにAIP群においてPPC投与群は蒸留水投与群に比し,膵島炎の程度は軽度にとどまっていた.【結論】ALYマウスを用いた研究では,AIPにおける膵島炎は膵炎と同様にPPCの投与で進展が抑制される可能性があり,その機序にPPCのTh2抑制作用が関与していると推定される.
索引用語 自己免疫性膵炎, 膵島炎