セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓(腫瘍)1 |
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タイトル | 消P-200:グリコアルブミンは膵癌患者における耐糖能異常をより鋭敏に検出する |
演者 | 水野 卓(東京大・消化器内科) |
共同演者 | 中井 陽介(東京大・消化器内科), 伊佐山 浩通(東京大・消化器内科), 佐々木 隆(東京大・消化器内科), 高原 楠昊(東京大・消化器内科), 宮林 弘至(東京大・消化器内科), 毛利 大(東京大・消化器内科), 川久保 和道(東京大・消化器内科), 木暮 宏史(東京大・消化器内科), 山本 夏代(東京大・消化器内科), 平野 賢二(東京大・消化器内科), 笹平 直樹(東京大・消化器内科), 多田 稔(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科) |
抄録 | 【目的】膵癌患者は高率に糖尿病(DM)を合併している。グリコアルブミン(GA)はHbA1cと比較して短期の血糖を反映し、耐糖能異常の早期検出に有用とされている。またGA/HbA1c比(G/H比)は安定した血糖値では約3となり、上昇傾向の時には高くなる。今回我々はGAとG/H比に着目し、膵癌患者における耐糖能異常について検討した。【方法】対象は2009年6月から2012年2月まで当科で診断した膵癌187例のうち、診断時に空腹時血糖(FBG)・GA・HbA1cが測定された59例。血糖関連検査の異常率とG/H比について検討した。DMの定義はFBG≧126 mg/dl、HbA1c≧6.1%のいずれかを満たすか、既に治療を受けているものとした。【結果】患者背景は、男性64%、年齢69(47~88)歳。病期はI 1例、II 2例、III 13例、IVa 15例、IVb 28例。切除率は26%。DM合併率は64%であった。血糖関連検査の結果は、FBG 116(64~306)mg/dl、GA 19.4(12.5~51.5)%、HbA1c 6.2%(4.0~13.6)%。DM(+)群での異常率はFBG 84%、GA 87%、HbA1c 87%で、DM(-)群での異常率はFBG 24%、GA 43%、HbA1c 5%であり、GAはDM(-)群でも異常率が高かった。G/H比は3.10(1.56~4.30)で、G/H比≧3.5は13例(22%)、G/H比≦2.5は5例(8%)と、G/H比が3を越える症例が多かった。G/H比高値群(G/H比≧3.5)13例とその他(G/H比<3.5)46例を比較すると、腫瘍径は27 mm vs. 35 mm (P = 0.30)、StageIII以下は38% vs. 24% (P = 0.31)で、有意差はないがG/H比高値群でより早期に診断されていた。またG/H比高値群には膵頭部癌が有意に多かった(69% vs. 33%, P = 0.03)。【結論】膵癌患者、特に膵頭部癌患者においてはG/H比の高い症例が多く、膵癌診断の前に耐糖能悪化が先行することが示唆された。またGAはその他の血糖関連検査に比べて高率に異常値を呈しており、膵癌患者においても耐糖能異常の検出に有用で、早期診断に結び付く可能性が示唆された。 |
索引用語 | 膵癌, 糖尿病 |