セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍)1

タイトル 消P-202:

転移性膵腫瘍の4例

演者 鈴木 歩(八戸赤十字病院・消化器科)
共同演者 久多良 徳彦(八戸赤十字病院・消化器科), 塚原 智典(八戸赤十字病院・消化器科), 牛尾 晶(八戸赤十字病院・消化器科)
抄録 【背景】転移性膵腫瘍は比較的稀であるが、悪性腫瘍剖検例では3.0~10.6%、臨床での頻度は3%と報告されている。原発巣は腎細胞癌(腎癌)、肺癌、乳癌が多い。腎癌の膵転移のように外科的切除で予後が明らかに改善するものや、原発性膵癌との鑑別が難しい症例も存在する。【目的】当院における転移性膵腫瘍の臨床的特徴と画像所見について検討を行った。【対象と方法】2006年8月から2011年8月までに当院で病理学的に検討可能であった転移性膵腫瘍4例(外科的切除3例、EUS-FNA1例)を対象として、年齢、性差、発見契機、腫瘍占拠部位、腫瘍径、腫瘍個数、転移までの期間、原発巣、治療法、画像所見について検討を行った。【結果】年齢65~73歳、男性4例。発見契機は無症状2例、有症状2例(黄疸1例、腹痛1例)。腫瘍占拠部位は膵頭部2例、体部1例、体尾部1例。腫瘍径は6mm~40mm、腫瘍個数は単発3例、多発1例であり、転移までの時期は8年10ヶ月~18年であった。原発巣は、病理組織学的にいずれも腎癌(clear cell carcinoma)の膵転移と診断された。治療は外科的切除3例(幽門輪温存膵頭十二指腸切除1例、膵体尾部切除2例)、非切除1例(分子標的治療薬投与)であった。4例の画像上の特徴としては、超音波検査においては境界明瞭な低エコー像、造影CT検査ではhypervascularな腫瘍であり、原発巣である腎癌の特徴を反映していた。【結論】当院における転移性膵腫瘍4例は全例が腎癌の膵転移であった。腎癌の膵転移は、腎癌術後から膵転移までの期間が比較的長いのが特徴である。腎癌は長期にわたる経過観察が重要であり、腎癌の既往がある患者では、膵腫瘍の鑑別診断として腎癌の膵転移を考える必要がある。
索引用語 転移性膵腫瘍, 腎癌膵転移