抄録 |
【目的】膵癌におけるFDG-PETの有用性については様々な検討が行われているが、PET陰性例についての検討は少なく、病理学的な検討はみられない。今回われわれはPET陰性膵癌の病理学的な特徴を明らかにし、FDGが集積されない原因を推測する。 【対象と方法】術前にPETを施行し、PET陰性を示した膵癌手術例のうち、高血糖の影響と考えられる症例を除外した18例を対象とし、病理学的所見(部位、大きさ、組織型と増殖形態、線維化)や増殖能について検討した。組織型は高・中・低分化に分類し、増殖形態は1)均等型(癌腺管が正常膵組織の細胞密度と同等か低い細胞密度を示すもの)、2)拡張型(癌腺管の拡張が主なもの)、3)集族型(癌腺管が固まって増殖を示すもの)に分類した。増殖能はKi-67 indexを用い、比較としてPET陽性11例のKi-67 indexを検索した。【結果】部位(頭部:体尾部)15:3、集族型では3:2。最大径15-50mm(平均25.8mm)。組織型(tub1-tub2:por)17:1。porは均等型で認められた。増殖形態(均等型/拡張型/集族型)10/3/5例。線維化(軽度/中等度/高度)7/7/4例で、均等型や拡張型で線維化が多い傾向を示した。Ki-67index 2.7-12.6(平均6.8)で増殖形態による差はみられなかった。PET陽性例のKi-67indexは26.1(p<0.01)であった。 【結語】1)PET陰性例は頭部に多い傾向を認めた。2)最大径は平均26mmであったが、15mm-50mmと大きさには幅がみられた。 3)増殖形態は均等型と拡張型が72%(13/18例)を占めた。このことは低い細胞密度や線維化、空隙形成により組織全体の中で癌細胞量は低下となり、FDG集積量が低下しPET陰性を示したと推測された。4)PET陽性例に比べて、PET陰性例は有意にKi-67陽性率が低く、癌細胞の増殖能もPET陰性に関与しているものと推測された。 |