セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓(腫瘍)2 |
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タイトル | 消P-208:膵癌との鑑別が困難であった限局性膵管狭窄例の検討 |
演者 | 長尾 健太(東京女子医大・消化器内科) |
共同演者 | 清水 京子(東京女子医大・消化器内科), 門前 正憲(東京女子医大・消化器内科), 田原 純子(東京女子医大・消化器内科), 高山 敬子(東京女子医大・消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器内科), 大島 奈々(東京女子医大・消化器外科), 君島 映(東京女子医大・消化器外科), 羽鳥 隆(東京女子医大・消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科), 久保木 友子(東京女子医大統合医科学研究所), 古川 徹(東京女子医大統合医科学研究所) |
抄録 | 【背景】限局性膵管狭窄を来す症例は膵癌との鑑別が重要だが、鑑別に苦慮する症例もある。今回限局性膵管狭窄を認めた3症例について検討する。【症例1】70歳台 男性 膵体部嚢胞性病変の10mm→15mmへの増大、糖尿病の悪化認めた。腹部CT、MRIでは膵体部に10mmの主膵管狭窄と尾側膵管の拡張を認めた。EUSでは狭窄部に腫瘍性病変は指摘できなかった。ERCPでの細胞診でclass3であった。上皮内癌も疑い膵体尾部切除術を施行した。病理組織では主膵管狭窄部はlow-grade IPMA gastric typeであった。【症例2】30歳台 女性 急性膵炎を発症し、腹部CT、MRIで膵体部に15mmの主膵管狭窄と尾側膵管の拡張を認めた。膵管内に境界不明瞭な早期濃染、遷延性濃染を認める隆起性病変を認めた。ERPCでの細胞診はclass3であった。膵体部癌を疑い膵体尾部切除術を施行した。病理組織では膵管内を占拠するneuroendcrine carcinoma(NEC)であった。【症例3】50歳台 女性 腹痛を主訴に来院。腹部CTで膵体部の軽度腫大と尾側膵管の拡張を認め、MRIでは膵体部主膵管狭窄と尾側膵管の拡張を認めたが、明らかな腫瘤性病変は指摘できなかった。EUSでは膵体尾部に4mmの主膵管狭窄と尾側膵管の拡張を認めた。ERCPでの細胞診はclass3であった。膵体部癌を疑い膵体尾部切除術を施行した。病理組織では、狭窄部の上皮細胞はPanIN-1B相当の増生を認め、間質にはIgG4陽性形質細胞主体の炎症細胞浸潤と閉塞性静脈炎を認め、LPSPに相当する組織像を主膵管狭窄部に限局性に認めた。【考察】限局性の膵管狭窄では膵癌との鑑別が重要になるが、その鑑別は困難であることが少なくない。主膵管狭窄例では膵癌、NEC、IPMN、PanIN、限局性の自己免疫性膵炎などを考慮し、画像的、組織学的診断を行うことが重要と考えられた。今後このような症例の術前診断を高める工夫が必要と考えられた。 |
索引用語 | 膵管狭窄, 膵癌 |