セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(IPMN)

タイトル 消P-209:

膵管内乳頭粘液性腫瘍におけるGPCR経路異常の関与

演者 久保木 友子(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科DELIMITER東京女子医大統合医科学研究所)
共同演者 清水 京子(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科), 羽鳥 隆(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大病院・消化器病センター消化器外科), 古川 徹(東京女子医大統合医科学研究所)
抄録 【目的】膵管内乳頭粘液性腫瘍(以下IPMN)は、臨床病理学的に多様性を持ち、進行すると転移や浸潤を来たし予後不良となる。我々は全ゲノムエクソン配列解析によりIPMNにおいて高頻度にGNAS遺伝子変異が見出されることを明らかにした(Sci Rep 1:161, 2011)。今回、IPMN多数例の解析によりIPMN発生進展におけるGPCR経路異常の関与について解析した。【対象と方法】IPMN178症例を対象に、GNAS、PKAリン酸化基質蛋白発現を免疫組織化学法で、GNAS遺伝子変の有無を直接シーケンス法で解析し、これらのデータを臨床病理学的特徴と比較し解析した。【結果】GNAS遺伝子がコードするG蛋白αサブユニット(Gsα)の蛋白発現は99.4%(177/178)に認められ、臨床病理学的特徴との関連は認めなかった。PKAリン酸化基質は82.6%(146/178)に認められ、高異型度症例に多い傾向にあった(p=0.069)。GNAS遺伝子変異は53.9%(96/178)に認められ、異型度とは関連を認めなかったがIPMN亜型のなかで腸型IPMNに有意に高頻度に認められた(p=0.036)。通常型膵管癌32例においてはGNAS遺伝子変異を1例も認めず、IPMNとの有意差を認めた(p= 3.8202X10-8)。【結語】IPMNの発生にはGPCR経路異常が基盤となり、腸型IPMNへの分化において有意に選択圧力が加わっていることが示唆された。また、GNAS遺伝子変異が通常型膵管癌とIPMNを区別する決定的な特徴を担う分子異常であることが示唆された。
索引用語 IPMN, GPCR経路