セッション情報 シンポジウム6(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

画像強調内視鏡の現状と今後の展開-咽頭から十二指腸まで

タイトル 内S6-12:

胃腫瘍に対するEndocytoscopy観察の有用性

演者 鶴留 一誠(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 宮原 良二(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】胃腫瘍(胃腺腫および早期胃癌)における生体内Endocytoscopy(EC)画像と病理組織像を比較検討した。【対象と方法】2011年1月から2012年2月までに当院にてEC観察を行った胃腫瘍39症例を対象とした。Olympus社製GIF-Y0002 (最大拡大率380倍)を使用し、染色液にはメチレンブルー、CM混合液(Crystal violet and Methylene blue)、トルイジンブルーを使用した。正常粘膜では腺窩上皮の配列や腺腔の形態は規則的で、核はほとんど染色されなかった。胃底腺粘膜では円形から楕円形の腺腔とそれを取り囲む腺窩上皮が、幽門線粘膜ではスリット状の腺腔とそれを取り囲む畝状の腺窩上皮が描出された。LGINでは腺腔はスリット状で分岐し、腺窩上皮の配列は整で腺腔縁は滑、核は紡錘形で淡染~濃染を呈した。HGIN・早期胃癌では腺腔は不整形もしくは破壊・消失し、腺窩上皮の配列は不整で腺腔縁は粗、核は紡錘形~不整形で濃染を呈し、間質に拡張・蛇行・口径不同を有する異常血管を認めた。正常粘膜およびLGINの所見をEC診断陰性、HGINと早期胃癌の所見をEC診断陽性と定義し、腫瘍部と非腫瘍部から得られた画像を前情報の無い2名の内視鏡医がEC診断を行い、病理結果と対比した。【結果】内視鏡医Aにより60例(非腫瘍 35例、LGIN 7、HGIN・早期胃癌 18例)、内視鏡医Bにより64例(非腫瘍 38例、LGIN 6例、HGIN・早期胃癌 20例)にて評価可能な画像が得られ、病変描出率は76.9%、82.1%であった。EC診断による組織型診断の感度と特異度は、内視鏡医A;83.3%、88.1%であり、内視鏡医B; 65.0%、90.9%であった。内視鏡医によるEC画像の診断一致率(κ値)は0.676であった。【考察】ECは胃腫瘍の組織型診断にて感度がやや劣るものの、高い特異度を有していた。HGIN・早期胃癌をLGINと過小評価したものが多くみられ、感度やκ値が低くなった原因と推測され、LGINとHGINのEC診断において更なる検討が必要と考えられた。【結論】ECは生体内で病理組織像に近い内視鏡画像が得られ、胃腫瘍の診断に有用である。
索引用語 エンドサイトスコピー, IEE