セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(IPMN)

タイトル 消P-214:

IPMNの精査における造影EUSの有用性の検討

演者 山本 直樹(岡山大病院・消化器内科)
共同演者 加藤 博也(岡山大病院・消化器内科), 友田 健(岡山大病院・消化器内科), 松本 和幸(岡山大病院・消化器内科), 榊原 一郎(岡山大病院・消化器内科), 野間 康宏(岡山大病院・消化器内科), 園山 隆之(岡山大病院・消化器内科), 堤 康一郎(岡山大病院・消化器内科), 堀 圭介(岡山大病院・消化器内科), 田中 健大(岡山大病院・病理診断科), 岡田 裕之(岡山大病院・消化器内科), 山本 和秀(岡山大病院・消化器内科)
抄録 【目的】当院ではIPMNが疑われる膵嚢胞性病変の精査の際、MDCT、MRCP後に、必要に応じて造影EUSを施行している。IPMNの切除例において、病理結果とMDCT、造影EUS所見をretrospectiveに検討し、その診断能を評価した。【方法】2009年12月から2011年12月までにMDCT、造影EUSを施行し手術となった23例中、結節及び肥厚した隔壁を認め、Time Intensity Curve(TIC)による定量的解析が可能であった20例(男:女=12:8、平均年齢70.3歳、IPMC:IPMA=11:9)を対象とした。MDCT、MRCPで嚢胞径20mm以上、結節や隔壁肥厚、主膵管拡張などを認める場合にEUSを施行した。EUS上結節や隔壁肥厚を有する症例にはSonazoid造影を追加し、結節や肥厚した隔壁(腫瘍部)と膵実質(非腫瘍部)に関心領域を設定し、造影パターンのTIC解析を行った。検討項目は、MDCTと造影EUSの結節・肥厚隔壁の検出能、またTIC解析の評価項目として、IPMC、IPMA間で1)造影前後の輝度上昇値、2)造影輝度上昇開始からピークまでの時間と、3)その傾き、4)造影ピークから2分後における輝度の減衰率、5)腫瘍部の輝度上昇値と膵実質の輝度上昇値の比を比較した。【結果】20例中、MDCTによる結節・肥厚隔壁の検出率は10mm以上では100%であったが、10mm未満では21.4%(3/14)であり、造影EUSが優位に高かった(P<0.05)。造影EUSの感度は高いが、その悪性率は55%(11/20)であり、ガイドラインの結節の対応では偽陽性が多い。IPMCとIPMA間のTIC解析の結果は、1)輝度上昇値(P=0.005)、4)減衰率(P=0.001)、5)輝度上昇比(P=0.003)でいずれも有意にIPMCで大きかった。これらの項目でROC曲線からcut off値を算出した結果、各項目の良悪性の正診率は、1)輝度上昇値89%、4)減衰率89%、5)輝度上昇比94%であった。【結論】IPMNの精査において造影EUSはMDCTよりも結節や肥厚隔壁の検出に優れ、TIC解析を併用することで、良悪性の診断能を上昇させる可能性が示唆された。
索引用語 IPMN, 造影EUS