セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(IPMN)

タイトル 消P-216:

MRCP検査実施集団におけるIPMNおよび膵がん発生のリスク因子の検討

演者 松崎 潤太郎(慶應義塾大・消化器内科)
共同演者 鈴木 秀和(慶應義塾大・消化器内科), 正岡 建洋(慶應義塾大・消化器内科), 奥田 茂男(慶應義塾大・放射線科), 谷本 伸弘(慶應義塾大・放射線科), 福原 誠一郎(慶應義塾大・消化器内科), 岡田 佐和子(慶應義塾大・消化器内科), 平田 賢郎(慶應義塾大・消化器内科), 樋口 肇(慶應義塾大・消化器内科), 朴沢 重成(慶應義塾大・消化器内科), 栗林 幸夫(慶應義塾大・放射線科), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科)
抄録 【目的】膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm: IPMN)はしばしば浸潤がんへ進行するのみならず、比較的高頻度に通常型膵がんを合併することが知られている。よってIPMNの発生に関与する素因を検討することで、膵がんの発症機序の解明ないし、早期発見へとつながる可能性が考えられる。2006年に慶應義塾大学病院消化器内科でMRCPを実施した集団を対象にnested case-control研究を行い、IPMNおよび膵がんの発生のリスク因子を検討した。
【方法】2006年に当院消化器内科でMRCPを実施した症例につき、その後の観察期間内でのIPMNおよび膵がんの有無と、胆石や胆嚢腺筋腫症などの画像所見の有無との関連性を評価した。本研究での「膵がん」はIPMN由来か否かを問わず膵上皮性悪性腫瘍すべてとした。
【成績】IPMN群150例(男性76例、女性75例、年齢 69.5±10.0歳)と非IPMN群360例(男性199例、女性161例、年齢 60.2±16.6歳)の比較を行った。膵がん発症はIPMN群で11例(7.3%)、非IPMN群で12例(3.3%)であった (p=0.04)。またIPMN群では胆嚢腺筋腫症の合併が多く(p=0.004)、胆石症(p<0.001)および胆管がんの合併は少なかった(p=0.005)。一方、膵がん症例27例(男性16例、女性11例、年齢 71.3±10.8歳)と非膵がん症例525例(男性275例、女性250例、年齢 62.9±15.6歳)を比較すると、胆石症の合併は非膵がん症例で134例(25.5%)に対し膵がん症例で1例(3.7%)と少なかったが(p=0.01)、胆嚢腺筋腫症の合併頻度に差はなかった。平均年齢はIPMNと膵がんともに対照群に比べて有意に高齢であったが、性差は認めなかった。
【結論】胆石症を有する患者は、IPMNおよび膵がんのリスクが少なかった。胆嚢腺筋腫症はIPMNとの併発が有意に多かったが、膵がんのリスクとは関連しなかった。
索引用語 IPMN, 胆嚢腺筋腫症