共同演者 |
高橋 英(山梨大・1内科), 進藤 浩子(山梨大・1内科), 高野 伸一(山梨大・1内科), 深澤 光晴(山梨大・1内科), 佐藤 公(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科), 細村 直弘(山梨大・1外科), 川井田 博充(山梨大・1外科), 雨宮 秀武(山梨大・1外科), 河野 寛(山梨大・1外科), 板倉 淳(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科) |
抄録 |
【目的】局所進行膵癌の治療の原則は切除可能例については切除、切除不能例については化学(放射線)療法であるが、切除適応や薬剤・線量等一定の見解は得られていない。当院での局所進行膵癌の治療状況について検討した。【方法】2002年4月より現在までに治療を行った、膵癌取扱い規約(第6版)のStageIVaおよびStageIVb(T4N2M0)の局所進行症例77例を対象とし、1)患者背景,2)治療法およびその予後,3)生存に寄与する因子について検討を行い、切除例については病理学的所見を加味して検討を行った。【結果】全症例(男性36例,女性41例)の年齢中央値70歳、進行度は Stage IVa/IVb 66/11例であり生存期間中央値(MST)は544日であった。腫瘍マーカー中央値はCEA 3.4ng/ml,CA19-9 165(非黄疸例では104)U/mlであった。腫瘍因子としては主占拠部位Ph/Pb/Pt それぞれ48/27/2,腫瘍径中央値30(15-110)mmであった。1次治療の内訳は切除45例、化学放射線治療18例、化学療法14例であり、それぞれのMSTは580日,392日,627日であった。各治療間のMSTに有意差は認めなかった。生存に関する因子として、年齢・性別・腫瘍マーカー・腫瘍径・癌取扱い規約に基づいた局所進行度因子を検討すると、単変量解析では膵後方浸潤(p=0.05),動脈浸潤(p<0.001),膵外神経叢浸潤(p=0.008),他臓器浸潤(p=0.003)が抽出され、多変量解析では動脈浸潤(HR3.64,p=0.005)と他臓器浸潤(HR2.52,p=0.02)が独立した因子として抽出された。詳細な病理結果が判明している切除例45例で同様の検討を行うと他臓器浸潤のみが抽出された(HR3.46,p=0.04)【結語】各治療間の成績に有意差を認めず、生存に寄与する因子として動脈浸潤・他臓器浸潤の有無が抽出された。治療成績向上のためにはneoadjuvant化学(放射線)療法等一層の工夫が必要と思われる。 |