セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍)3

タイトル 消P-218:

当院における1cm以下の小膵癌手術症例の検討

演者 後藤田 達洋(岡山済生会総合病院・内科)
共同演者 藤井 雅邦(岡山済生会総合病院・内科), 吉岡 正雄(岡山済生会総合病院・内科), 塩出 純二(岡山済生会総合病院・内科), 仁熊 健文(岡山済生会総合病院・外科), 三村 哲重(岡山済生会総合病院・外科)
抄録 [目的]膵癌は予後不良な疾患であり、現在は1cmレベルでの診断が早期診断として望まれる。1cm以下の膵癌手術例を解析し、早期診断に有用な因子を検討する。[対象]2006年1月~2012年1月までに当院で手術を施行し膵癌と診断された127例の内、1cm以下の膵癌5例(4%)(男性2例,女性3例,平均年齢69歳)を対象とした。[方法]疾患背景(病型,占拠部位,大きさ,進行度,生存期間)、リスク因子の有無、発見契機、腫瘍マーカー、画像の特徴について解析し、1cm以下の膵癌の特徴を検討する。[結果]通常型膵癌4例、IPMC(混合型)1例であった。通常型膵癌の内1例はIPMNに合併した膵癌であった。病変占拠部位は頭部3例、体部2例平均腫瘍サイズは7.5mm (2.5-10)であった。進行度はstage1 5例、再発による死亡例は1例のみであった。(平均生存期間836日:176~1765日)。リスク因子は耐糖能異常が4/5例(80%)、IPMNが2/5例(40%)、慢性膵炎が2/5例(20%)であった。発見契機は全例無症状例(100%)で、糖尿病フォロー中の画像検査での異常が3/5例(60%)、検診ドックでの発見例は2/5例(40%)であった。発見契機となった検査は腫瘍マーカー上昇1例、エコー3例、CT1例であった。腫瘍マーカー上昇はCA19-9 3/5(60%)の陽性率が高い傾向を認めた。画像検査所見は、腫瘤描出はエコー 2/4(50%)、CT 3/5(60%)、MRI 4/5(80%)、主膵管拡張または狭窄はエコー 2/4(33%)、CT 5/5(100%)、MRI 5/5(100%)であった。腫瘤描出が困難であった1例(2.5mm)はERP下の狭窄部擦過細胞診で確定診断を得ることが可能であった。[結語]1cm以下の膵癌手術例は再発例が少なく、治療成績は良好であった。このレベルでの小膵癌の発見には、無症状患者からの拾い上げが重要である。糖尿病患者を対象にCA19-9 を中心とした腫瘍マーカーと膵管拡張などの間接所見にも留意して各種画像検査を定期的に施行していくことが肝要である。
索引用語 小膵癌, 早期診断