セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍)3

タイトル 消P-219:

局所進行膵癌に対する治療戦略

演者 上田 順彦(金沢医大・一般・消化器外科)
共同演者 森岡 絵美(金沢医大・一般・消化器外科), 甲斐田 大資(金沢医大・一般・消化器外科), 富田 泰斗(金沢医大・一般・消化器外科), 大西 敏雄(金沢医大・一般・消化器外科), 大野 由夏子(金沢医大・一般・消化器外科), 野口 美樹(金沢医大・一般・消化器外科), 木南 伸一(金沢医大・一般・消化器外科), 表 和彦(金沢医大・一般・消化器外科), 中野 泰治(金沢医大・一般・消化器外科), 小坂 健夫(金沢医大・一般・消化器外科)
抄録 【はじめに】通常型膵癌の治療成績は術前進展度診断の進歩、膵周囲の解剖の把握、放射線化学療法の進歩などにより徐々に改善しているが十分とは言えない。【目的】膵癌の治療成績を向上させる要因を検討し、治療戦略を明らかにすること。【対象と方法】過去12年間に当科で原発巣切除がなされた56例のうち、遠隔転移例を除いた36例について検討した。なお最近の3年間の症例では膵背面の剥離はfusion fasciaの背側に入り膵臓をfasciaごと腹側に持ち上げpRPを陰性化していることと、手術単独ではR0が得られない症例では術前放射線化学療法(NACRT)を施行してから手術をおこなっている。【成績】1.局所癌遺残度別の予後:R0(n=20)の3年生存率57%, 5年生存率45%、R1(n=10)では2年生存率24%、最長2年7か月生存中、R2(n=6)では3年生存率17%、最長4年7か月死亡であった。R0はR1、R2に比べて有意に予後は良好であったが、R1とR2の間には差はなかった。2.最近3年間の切除10症例:NACRTは3例に施行した。切除症例のpS 4例、pRP 3例、pPL 1例、pN(+) 5例であった。局所癌遺残はR0 9例、R1 1例(pPCM) であった。3.再発形式:R0症例では5例原病死し、局所1例、肝2例、腹膜4例であり、R1,2症例は原病死は8例あり、局所8例、肝2例、腹膜6例であった。4.補助療法:在院死例、80歳以上例をのぞき術後補助化学療法が施行された。5年以上生存例はR0切除後の補助療法はGEM+UFT 1例、GEM+S-1 1例,5FU内服2例であった。それ以外の大部分の症例ではGEM baseの化学療法がなされた。【結論】通常型膵癌の長期生存を得るためにはR0手術を行うことが必要であり、術後の化学療法は補助的でしかない。またR0を得るために(1)画像診断により手術単独でR0になりうるか否かを判断する。(2)手術単独でR0になりえない症例では術前放射線化学療法により局所の縮小をはかった上で根治手術を行う。(3)手術は膵周囲の膜の構造を考えた手術が重要と考えられた。
索引用語 膵臓癌, 治療成績