セッション情報 シンポジウム6(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

画像強調内視鏡の現状と今後の展開-咽頭から十二指腸まで

タイトル 内S6-13:

非乳頭部十二指腸腫瘍に対するNBI併用拡大内視鏡の有用性の検討

演者 山本 頼正(がん研有明病院・消化器内科)
共同演者 藤崎 順子(がん研有明病院・内視鏡診療部), 平澤 俊明(がん研有明病院・消化器内科)
抄録 【目的】非乳頭部十二指腸腫瘍に対する内視鏡診断と治療の基準は確立されておらず、生検診断で腺腫でも、切除後の病理診断で癌である症例もあり、生検以外の診断方法の確立も必要である。今回、我々は非乳頭部十二指腸腫瘍に対するNBI併用拡大内視鏡の有用性を検討した。【方法】2006年-2011年に当院で内視鏡治療前にNBI併用拡大内視鏡を施行し、内視鏡切除を行った非乳頭部十二指腸腫瘍28病変を対象とした。内視鏡切除後の病理所見で、腺腫(Ad群)15例(低異型度2例、高異型度13例)と癌(Ca群)13例に分け、その臨床病理学的特徴とNBI併用拡大内視鏡所見についてレトロスペクティブに比較検討した。NBI所見は八尾らのVS classificationを用いて分類を行った。【成績】Ad群、Ca群でそれぞれ平均年齢(63.5歳、67.8歳)、性別(M12:F3、M10:F3)、病変部位(球部5:球部以外10、球部5:球部以外8)、平均腫瘍径(11.1mm、11.1mm)、肉眼型(隆起9:陥凹6、隆起10:陥凹3)、病変色調(白色3:発赤12、白色6:7)であり、有意差は認めなかった。生検診断では、Ad群は14例(93%)が腺腫と診断されていたが、Ca群は6例(46%)が癌と診断されたのみで、生検診断の感度、特異度はそれぞれ46%、93%であった。NBI併用拡大内視鏡診断では、Microstructural patternにおいて、Ad群はirregular、absentがそれぞれ14(93%)、1(7%)、Ca群はirregular、absentがそれぞれ11(85%)、2(15%)で有意差はなかった。Vascular patternにおいて、Ad群はregular、irregular、absentがそれぞれ6(40%)、3(20%)、6(40%)、Ca群はirregular、absentがそれぞれ12(92%)、1(8%)で、Ca群で有意にirregular patternが多かった。(p=0.01) Irregular vascular patternの感度、特異度はそれぞれ92%、53%であり、生検診断と比較して特異度は低いが感度は高かった。【結論】非乳頭部十二指腸腫瘍の診断において、NBI併用拡大内視鏡によるirregular vascular patternの検出は、生検診断を補完できる可能性がある。
索引用語 非乳頭部十二指腸腫瘍, NBI併用拡大内視鏡