セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
膵臓(腫瘍)4
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タイトル |
消P-223:GSK3β標的治療を併用した膵癌の新規治療戦略と分子基盤
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演者 |
島崎 猛夫(金沢医大・腫瘍内科学DELIMITER金沢大がん進展制御研究所・腫瘍制御) |
共同演者 |
川上 和之(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍制御), 上田 順彦(金沢医大・一般・消化器外科), 小坂 健夫(金沢医大・一般・消化器外科), 源 利成(金沢大がん進展制御研究所・腫瘍制御), 元雄 良治(金沢医大・腫瘍内科学) |
抄録 |
膵癌の難治性の根底には, 腫瘍細胞の高い増殖能・浸潤能・転移能,薬剤・放射線耐性などがある.種々の抗がん剤レジメンや分子標的療法に関する幾多の臨床試験が国内外で実施されているが,確たる腫瘍制御効果は得られていない.これらの標的分子とは別に我々は,膵癌でglycogen synthase kinase (GSK) 3βの発現と活性が高く,腫瘍細胞の生存と増殖に必須であることを見出した.そして,GSK3β阻害による膵癌治療効果を細胞レベルと担がん動物モデルで実証し,GSK3βが膵癌の新しい治療標的であることを同定した.ついでGSK3β阻害効果を持つ既存医薬品の適応外使用とゲムシタビンの併用による進行膵癌治療の医師主導型第I/II相臨床研究 (UMIN5095)を開始している.今回,その概要と成果の一部を提示するとともに,GSK3β阻害による抗腫瘍効果の分子機構について解析結果を報告する.膵癌細胞で異常活性を示すGSK3βが誘導するシグナルがp53がん抑制経路,Rb細胞周期制御系や細胞不死化経路に影響を及ぼすことと,ヒト膵癌細胞移植動物を対象とする前臨床研究により,薬理学的GSK3β阻害剤の併用はTP53INP1 (tumor protein 53-induced nuclear protein1)を介するDNA修復機構を制御して,ゲムシタビンの効果を相乗的に増強することを見いだした (Shimasaki T, et al. J Gastroenterol 2011 Nov 1. Epub).我々はさらに,膵癌の浸潤に伴う細胞形態と運動能に着目してGSK3βの機能を多角的に解析した.培養細胞のスクラッチ試験とトランスウェルアッセイにより,GSK3β阻害剤は膵癌細胞の遊走と浸潤を抑制した.その効果に伴い,ゲムシタビンにより誘導される膵癌細胞の形態変化 (上皮間葉転換)と,浸潤を誘引する熱ショック蛋白質の発現やFAK/Rac1/MMP-2機軸経路が抑制された.以上の結果より,GSK3β阻害は膵癌細胞の浸潤制御や抗がん剤増感効果により,局所進行膵癌に対する新規治療戦略になることを提案したい. |
索引用語 |
GSK3β, 膵癌 |